あなたしか愛せない59 

一生守るから、側にいて欲しい 

Will you marry me?

 

 

商談が終わり、大学まで迎えに行くと、ウンスと

ボディガードのカイセが待っていた。

何事もなかったとカイセから聞き、ホッとした。

それから、サイズ合わせをしている婚約指輪を

受け取りにウンスと向かった。…………

 

その帰途、

俺の愛車マセラティグランスポーツの中で、

「ヨン、このあとお屋敷に帰るの?」

「ちゃんとウンスに指輪を渡したい」

「また、プロポーズしてくれるの?」

「そのつもりで、今日は来たんだよ」

「でも、この洋服通学用よ」

「ホテルに届いているはず」

「それって、アンジェさんのホテル?」

「そうだよ」

「もう着いたよ」

 

 

いつものジュニアスイートルームではなく、

ホテル内の美容室にウンスを連れて行った。

髪のセットとメイクをしてもらい、俺の見立てに

よるワンピ―スを着て現れたウンスは、いつも

より増して綺麗だった。キラキラ輝いていて、

眩しい。俺は恥ずかしくなり、少し俯いてしまい、

咳払いをしたのだった。俺の顔、絶対に猿みたい

に顔が赤くなっているはずだ。

 

「ヨン、お待たせ、大丈夫?」

ウンスは俺の背中を擦ってくれた。

そのウンスの手をそっと掴み、

俺の左胸においた。

「ウンス、可愛い、綺麗だよ」

ウンスの耳元で囁くと、

「ヨン、くすぐったいわ。

こんなところで恥ずかしい。

それに、ヨンの鼓動が早いわ」

「当たり前だよ」

俺はウンスに手を差し伸べ、エスコートをして、

ホテル内のレストランへ向かった。

 

 

 

 

レストランの扉をホテルのスタッフに開けて

もらうと、そこは真っ暗だった。

 

「ヨン、このお店、今日は休業なの?」

「半分正解。俺達だけの貸し切りだよ」

「えっ、本当に?」

 

スタッフから、

キャンドルトーチを渡された俺はウンスと一緒に、

窓際にある俺達のテーブルまで、

キャンドルに火を灯しながら歩いた。

 

キャンドルに火を灯すと、そこに、

ウンスの好きな黄色い小菊とメッセージカードが

目に入るように仕掛けておいた。

 

最初のキャンドルには、

「 사랑하는(愛している)」のメッセージカードを添えて、

次のキャンドルには

「Be with me forever.」のメッセージカードを添えて、

その次は、

「I love you.」

「I can't live without you.」

「I will protect you for life.」

「 I will make you happy forever.」

「I will protect you forever.」

黄色い小菊の花に

手書きで一枚一枚メッセージカードを

添えての花の道

キャンドルに火を灯せば、炎の道。

 

テーブルまでの僅かな道のりが長く感じた。

こういうサプライズ企画のお願いは、アンジェ

だから出来る。

他のホテルでは、正直恥ずかしい。

奴は今日も絶対何処からか、俺達を覗いている

はずだ。ボーイの制服を着て忍び込んでいるの

だろうか?コックか?それでも、俺がウンスに

したかったことだ、仕方がない。

 

火が灯されカードが見えると、俺の気持ちを書い

たカードをひとつひとつ声に出しながら、ウンス

が読んでいき、泣いていた。

「ウンスは、こうこうの嫌いか?」

「ん~ん、嬉し過ぎちゃって、ヨンありがとう」

 

窓際のテーブルに辿り着くと、大きな窓からは、

夜景が見えた。大きな月、輝くような星空は、

俺達を祝福しているように感じた。

 

俺はウンスの前に出て、片膝を着いた。

「ウンス」

「ヨン」

 

「一生守るから 俺のそばにいて欲しい。

俺の側にいてくれるなら死ぬまで離さないから」

「私のお守りは大変よ」

「分かっている」

「ずっとよ。一生は長いのよ」

俺は頷いて、

「ウンス以外の女は、俺にはあり得ないから」

と言った。そして、

ジャケットから指輪のケースを取り出し、

パカッと開けて、

ウンスに見せると、

「ヨンがしてくれるの?」

「もちろんだよ」

 

 

 

俺はウンスの左薬指に指輪をはめてから、

その指にキスをした。

それでは、物足りなくウンスを抱き締めて、

唇を寄せようとしたその時に、

カチャッと大きな音がした。

 

 

 

 

スポットライトが当たったのは、

白いグランドピアノだった。

その前に座っていたのは、アンジェの婚約者

ワンビ・ママルであった。

俺達に微笑みを向けてくれた。そして、

その隣には、タキシードスーツに蝶ネクタイを

した、アンジェが澄ました顔をして立っていた。

 

アンジェがワンビ・ママルと視線を交わすと

ピアノの上の指が動き始め、伴奏が始まった。

それに合わせるかのように、アンジェの右手

のヴァイオリンの弓も動き始めた。

 

 

その曲は、ヨハン・パッヘルベルの『カノン』

だった。そして、そのスポットライトが

俺とウンスの方に切り替わり当たると、

ウンスの目から、

とめどなく涙が流れているのが目に入った。

 

 イメージです

ピアノとヴァイオリン

 

「どうした、ウンス?」

俺はハンカチでウンスの涙を拭いてから、

頬を手のひらで優しく包んだ。

「嬉しくて、涙が止まらなの、どうしよう?」

俺はウンスを抱き締めて、

「俺はウンスの涙に弱いんだ」

 

「うれし涙よ、ヨン嬉しいの、

どうしよう、幸せよ」

「俺も嬉しい、最高に幸せだ、

もっともっとウンスを幸せにする」

 

 

 

お話は続きます

 

 

 

ここまで読んで頂きまして、有難うございました。

 

 

すっぽん小町

 

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