本朝美少年録 不破伴作 | そろって浄土に弥次喜多道中膝栗毛

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残り少ない人生、死ぬのは苦しいものか、どうも痴呆老人になって死んでいくようだ。お寺の坊さんに頼んでいるが。
残りの人生、東海道中膝栗毛の弥次喜多道中のように気楽に行けないものか。

本朝美少年録 不破伴作

昨日に引続き 本朝美少年録 不破伴作とか いままで 全然知らなかったなあ どんな人物なのか 「安土桃山時代の豊臣秀次の小姓 尾張国の生まれ 文禄4年(1595年)7月、秀次の切腹前に殉死

享年17 絶世の美少年として知られ 天下三美少年 あるいは 戦国三大美少年の1人 不破万作 歌舞伎の祖として知られている名古屋山三郎 石田三成家臣の浅香左馬之助(水野庄次郎)の3人

それぞれ当時の比類なき美少年として知られていたという」(Wikipedia/不破万作 2014/7/10 引用)
いったいどんな美少年なのか 見ていないのでさっぱりわからないものの 一度見れば あまりの美貌

に腰が抜けて 立ち上がれないのでは思いますよ 
不破伴作 あの豊臣秀次に仕え 秀次に殉死したという 秀次については 秀次事件など 悲劇の人

のように理解しています これも面白い人物 一度 その経緯を読んでみたいなあ
秀次が秀吉の命により自害 その死に際して 山本主殿(とのも) 山田三十郎 不破伴作の三人の






                       (馬上の姿も美しく)


小姓が殉死したとされています 十八歳 
その切腹の場面が 印象的に 別れの盃を交わすと 秀次の介錯人には 老臣雀部淡路守に決まり 

秀次 淡路守に盃を差せば 不破伴作 「殿 私がお肴になりまする」と言い 白州に走り出て 見事
に切腹 それを見た秀次 太刀をとり あっぱれ 伴作と声を掛けて その細首を落としたという しかし

それしても お肴になりまするとは また 主君がその臣下の介錯をするというのも異常だ 
ふたりは やはり 「異常に烈しい衆道の念愛が 死においてあらわれたもの」(p167)というのだろう

か 「紫の血に染まる死の抱擁」とか 「聞く者の血を凍らせる日本的エロティシズムのピーク」(同上)
とありますが これがよくわかりませんよ 何故 血が紫なのか 

不破伴作には この最後の場面以外に あまり エピソードがないのだ 戦国三大美少年にしては 面
白き話題がありませんねえ もう少し 華やかなというか 華麗な話題などあってもよいものと思います

がねえ しかし 次のようなお話しロマンスないしエピソードが伝わっているという
まずは 余り変わり映えしないお話し 秀次の家臣小笠原信濃守に恋されたというのだ これほどの美

少年であれば ほかの人から思いを寄せられるのは 当然でしょうねえ しかし 伴作は主君秀次の寵
童 迂闊に手を出すことはできません 遠く熱い視線を送るのみ しかし 伴作も それを感取 ふたり

はお互いに 恋情を交わす中に 二人の逢引きは 当時の乗り物 輿(こし)を使っての風変わりな逢引き 二台の輿を都大路のなかで 行き交わせ 輿から輿へ乗り移って 逢引き 現代で言うところの

カーセックスのはしり 馬鹿くさいお話しですよ 「都大路を行く二丁の輿」 (犬つれづれから)
次なるロマンス 秀次の行列に供する万作 それも見初めた一人の浪士 行列のたびに 佇み 伴作

に一礼するのだ それが度重なれば 伴作も どのようなお方かと ある日 郎党の一人に後をつけさせそのわけを聞き質すのだ

その武士が恥らいながら言うには 上京の節 伴作殿に一目惚れ 主君にお暇を乞て 深草に隠れ 伴作殿の上洛の度に そのお姿を眺めていたというのだ 東洋

伴作は 感動する 主君を捨て いままでの生活を捨ててまでの伴作に対する思い 身を捨て世を捨て伴作に恋焦がれるのだ 伴作も その思いに答えるのだった 






                         (千両)


                       「俳画は楽し」 小野華優著 東洋出版 参考

 
伴作は その武士に手紙を出し 逢引きの打ち合わせ 秀次様が平野に狩猟したとき 伴作腹痛を訴えて石山寺の一室に その夜更け 伴作 勢田橋の傍に 橋の麓には あの武家が 

「呟くように呼び交わし 相寄り相見る二人の瞳が 月影に光った」(p171) ふたりは 固き契りを交わすのだった 

伴作を言う 二人の逢瀬 これがいつまで続くとも限りませぬ 別れに際して 伴作は 武士に白無垢の小袖を手渡すのだ 

武士 一生をかけた恋が叶えられ この上 命ながらえて何をしようぞ とて その日のうちに 自害しその屍を湖水に沈める 志賀のほとりに漂いついた死骸 白無垢のまとい 伴作が与えた名香 蘭

奢待(らんじゃたい)が 香っていたという 伴作 その亡骸を 志賀の里寺に懇ろに葬ったという
「死恋を遂げた深草の武士」(新著門集から)

最後に これまた 坊主とのお話しがあるのだ 坊主も 麗しい稚児が大好き 嵯峨法輪寺のお坊さん繊明 これまた 北野の森で 一目惚れ 上人とあるから 相当な位のお坊さん 伴作に恋悩み 文を

贈る
伴作 秀次様と 維明上人の間で板ばさみ しかし ただ一度 逢う瀬の機会を作るのだった 上人 

伏見城の庭園の中深く 厩舎の辺りに誘う伴作 その影でふたりは初夜まで過ごすのだ 以後 上人は伴作に対する煩悩を断ち切ったという 伴作が秀次に殉じた際には その冥福を祈って 供養した

という (嵯峨の上人との逢瀬)(春雨譚から)
いろいろなお話しがありますねえ  あまり難しく考えないで いい話ですよねと 一緒になって楽しみ

ましょう 

                         「本朝美少年録」 実吉達郎著 光風社出版 引用