権 力 | 秘密基地ベーリン

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2015年10月からのベーリンでの生活も8年目に入りました。健康第一、ベーリン方丈庵の日々を綴ります。

最近読んだ本を振り返ったら、権力を持つ存在になった人の本が続きました。 権力といっても小さなものは家庭内や職場内にもありますが、ここでは国家権力の中枢です。 読んだ順に並べてみます。

 

[1]『山河寂寥 ~ある女官の生涯~』上下巻 杉本苑子/文春文庫

 

 九世紀半ばから十世紀初頭に(文徳・清和・陽成・光孝・宇多・醍醐帝)、後宮に一族の子女を送り込み、天皇との血縁によって勢力を伸張する藤原一族の姿を、藤原淑子の生涯を通して描いています。

 

 藤原淑子は藤原長良の娘で、異母兄弟姉妹の清和帝の妃となった高子や、年少の陽成帝の摂政や次の光孝帝擁立などで実権を握る基経らを、夫の右大臣藤原氏宗とともに女官として権謀術数渦巻く後宮から支え、光孝帝即位後には尚侍に任じられました。

 ※尚侍:天皇に側仕えし、臣下が天皇に対して提出する文書を取り次いだり、天皇の命令を臣下に伝えた。日本の律令制における官職で、内侍司の長官(かみ)を務めた女官の官名 ⇒Wikipediaより引用

 

 子がいなかったので時康親王(後の光孝帝)の第七子・定省を養子にしましたが、定省が後に宇多帝に即位し、女性で初めて従一位に登り詰めました。

 ※系譜は下巻P46より借用(数字は代)

 

 

杉本苑子さんは飛鳥~平安期に藤原氏が勢力を伸ばす様子を、本書に加え『天智帝をめぐる七人』『穢土荘厳』『檀林皇后私譜』『散華』に書かれています。乾燥した日本史の教科書をめくるより、ドロドロした権力闘争と後宮のドラマを描くこれらの小説はスリリングです(『散華』は未読)

 

[2]『政治家の覚悟』 菅義偉/文春新書

 

 故安倍晋三国葬での菅義偉元首相の「追悼の辞(友人代表)」が心に沁みたので、10月の日本帰国時にBOOK OFFでこの本を見つけた時は迷わず買い求めました。

 前回のパタヤ訪問、ジョムティエンビーチで潮騒を聴きながら読みました。

 

 第二次安倍政権で持病悪化による安倍総理の突然の辞任表明を受け、政治の空白を作らないため次期内閣総理大臣に就任、2012年に出版した「政治家の覚悟 官僚を動かせ」に、雑誌「文藝春秋」での官房長官時代のインタビューを加え緊急出版されたのが本書です。

 

 政治家二世三世やマスコミ・官僚からの横滑りで国会議員になる政治家が多い中、菅さんは横浜市議からの叩き上げで、自分の目指す政策を実現するために、優秀な官僚をどう味方につけて法律を作っていくかを熟知した政治家であることを、この本を読んで再認識しました。

 短い在任期間でしたが、数多くの仕事をやってのけたことは、ブログに残しました↓

 ※菅政権の仕事:https://ameblo.jp/himitu-bearing/entry-12700952307.html

 

 引き継いだ岸田政権が目指すべき国家観がないため、あまりにも無定見な姿を見るにつけ、安倍・菅時代の仕事ぶりが際立ちます。

 

[3]『市 塵』 藤沢周平/講談社文庫

 

 江戸時代の庶民や下級武士を描いた作品が多い中で、この本は江戸幕府六代将軍となった家宣の下で、儒者・歴史家の新井白石が幕政に関与していく姿を描いた歴史小説です。

 ※徳川家 家系図(家康~吉宗)を刀剣ワールドHPより借用

 

 

 新井白石は貧しい浪人生活の後、儒者・木下順庵に入門し、37歳でようやく甲府徳川家に仕官し、藩主・徳川綱豊の侍講を務めました。 五代将軍綱吉に子が無かったため、甥の綱豊が家宣に名を改め六代将軍となり、側近の間部詮房・新井白石を引き続き重用したため、綱吉の悪法“生類憐みの令”を廃し、「正徳の治」と呼ばれた政治改革を支えました。      家宣の子・幼少の七代将軍徳川家継を引き続き支えましたが夭折したため、八代将軍徳川吉宗の世となり失脚し、晩年は著述に励みました。

 ※侍講:君主に仕え、学問を講義すること。また、その役。古くは四書五経などの東洋哲学・帝王学などが題材として取り扱われることが多かった。⇒Wikipediaより引用

 

 白石は、儒教の字句に囚われず、歴史など幅広い知識から家宣の諮問に対し正しいと思うことを政策提案。 一方で、体は弱く‘瀉(腹下し)’に悩み、夭折した子を嘆くなど身近な存在として描かれています。

 

◆◇◆◇

正しき権力者の不在

 ウクライナに侵攻したロシアのプーチン、政敵を排除し台湾侵攻を公言し暴走する習近平、極左政策(過度な温暖化対策、不法移民容認、軍事費削減)でアメリカを弱体化させるバイデン、国家観がなくマスコミ・左派からの攻撃に右往左往する岸田政権。

 

 人々が安心して毎日を暮らせるために、必要なもの=正しき権力者

 

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