月灯りの中、泣きながら謝り続ける彼女の唇を塞いだ。
謝罪の言葉など聞きたくはない。
3年前にも彼女は言った。 『愛してしまって、ごめんなさい』・・・と。
そんな風に苦しめたのは俺だ。
「すまない・・・。悪いのは・・俺だ」 それだけ言うと、再び彼女の唇を塞いだ。
『・さく・・ら』 唇を離した彼女がつぶやくように言う。
「・・・桜?」 振り向くように窓の外を見た彼女を背中から抱きしめ直した。
窓の向こうには月灯りに浮かぶ桜の花。 彼女の首筋に口づけた。
『この・・桜・並木を見・・て、ここに・・住もう・と決め・・たの』
荒くなる息づかいの中、彼女が途切れ途切れに言う。
『・・・憶・えて・・いる?』
彼女に初めて会ったのは、舞い散る桜の中だった。
「ああ、憶えているさ。・・・忘れる訳がない」 彼女のブラウスのボタンを外しながら答える。
「・・俺・・・の事は?」 耳を軽く噛みながら訊いた。
『忘れる・・訳・・・忘れ・・られる訳が・・ない・・』 ブラウスを剥ぎ取った背中にも唇を這わせる。
『・・・あぁっ・・・』 切ない叫び声と共に彼女の背中がのけ反った。
胸の膨らみを包んでいた手を下の方へと延ばし、その入り口を浅く掻き回した。
身体を少しずらし、吐息の漏れる唇に唇を重ねると、そのままゆっくりと彼女に覆いかぶさっていく。
胸の突起を口に含ませ転がしながら、指は溢れた蜜を掬い上げ、その上のつぼみを刺激する。
俺の頭を掻き抱きながら、絞りだすように言った。
『あれ・から・・・。あれ・・から、・・雄輔だけ・・なの・・』
驚いて顔をあげた俺と身体を入れ替えると、
『雄輔・・私にもさせて・・・』 と言った彼女が、舌を絡ませながら俺の服を脱がせ始めた。
やがて、彼女の唇が喉もとを通って胸へと下りてくると、俺がしたように舌で転がし、刺激を与えてくる。
『ねぇ・・。こっちも・・・して』 俺の要求に彼女は頷くと、両手で包み込み愛おしそうに口に含んだ。
「うぅ・・・」 彼女の動きに思わず、うめき声が漏れる。
もう2度と・・会える事さえないと思っていた彼女が、俺を含み愛してくれている。
そう思うだけで・・・。
「ごめ・・。もう、ダメ・・」 俺は彼女を引き剥がすと、胸の上に引っ張りあげた。
俺の胸に乗せた彼女の頭をなでながら囁くように訊いた。
「待って・・た?自分で好きなようにしてごらん?」
彼女は俺に跨ると、自分からゆっくりと俺を呑みこみ、妖しく腰をくねらせ始めた。
3年前のたった1度の行為が蘇る。
『・・あ・・ああっ・・』 あの時と同じく、なまめかしい声に表情が切なく歪む。
堪らず、下から激しく突き上げた。
『雄・・輔・・・。・・・雄・・輔・・』 俺の名を呼び続けながら、乱れる彼女。
ヤバイ・・・。 俺も耐えられなくなってきた。
上半身を起こすと、身体を入れ替え、彼女を下にする。
「・・・も・・いい?」 声がかすれる。 彼女が今にも泣き出しそうな顔で頷いた。
彼女をきつく抱きしめる。 彼女も俺の背中に回した腕に力を込めてくる。
「・・一緒・・だからな・・・一緒に・・。・・うっ・・・イクっ・・」
身体を弓なりに反らせ、俺自身をきつく締めつけてきた彼女の奥深くつきあげると、最後の瞬間を迎えた。
荒い息が少し落ちつくまで、しばらくそのままで抱きあった。
「愛してんよ♪」 俺は彼女に軽くキスをしてから、横にごろんと仰向けになった。
腕を延ばすと、彼女は俺の胸にちょこんと頭を乗せてくる。その仕草が何とも言えず可愛い。
顔にかかるやわらかい髪を直してやりながら、愛しさがこみ上げてくる。
桜の花びらの中で出会った彼女と、桜に魅せられて、桜の下で再会した。
懐かしい香りが俺を包み込んでいた。
「そうだ!あの子・・俺の・・娘の名前は?」 そう言うと、
『・・・笑わ・・ないでね。・・・さくら・・』 そう言って、彼女ははにかんだ。