【恋夢】short story☆心乱れて(再) | カンタ印  元気印

カンタ印  元気印

日々の出来事、思った事などをとりとめもなく...

年上の美しい人。


出逢った時には、すでに家庭があった。


お互い踏み込みたいのに、警戒するような微妙な関係。


走り出しそうになる気持ちを必死に抑えてきたのに、今日のあの人はいつもと違った。


いつもはしない香水の香りが俺の理性を吹き飛ばした。


こうなる事を望んだようにあの人が身を委ねる。


初めてあの人の肌に触れた。


熱を帯び汗ばむ身体から香水が香りたつ。


その香りに包まれ、頭の中心が痺れたような不思議な感覚。


そんな中で、あの人の声、表情、全てが鮮明に記憶される。


『ごめんなさい・・雄輔。・・愛してしまって・・・』


そう言いながら、いつしかあの人は泣いていた。


細い身体を抱きしめる。


忘れてしまえ!


全部、全部、忘れてしまえ!


俺の事以外は全て!


俺の名を呼び崩れ落ちたあの人を確かにこの腕で抱きとめた。


胸に抱きしめて眠ったはずのぬくもりが朝には消えていた。


あれは『さよなら』だったのだと、俺はその時はじめて気がついた。