「大丈夫か?」
喉の渇きで目を覚ました女の前にペットボトルの水が差し出された。
『あなた誰?…て、ここ何処?』
薄暗い照明でも分かる派手な内装の部屋…に派手な色の寝具。
一瞬で顔色の変わった女に男が慌てて言った。
「何もしてねぇぞ!」
数時間前。
男はふらりと入った店で女を見かけた。
「随分無茶な飲み方をするな」 早いペースでグラスを空にする女が気になった。
1人ふらつく足取りで出て行った女が心配になって後を追った。
まだ寒い季節、通りの端にうずくまる女がいた。
「あんた大丈夫か?」 声をかけた。
『気持ち…悪い』 そう言う女を近くのホテルに連れて行き休ませた。
「始発まではまだ時間あるし、もう少し眠ったら?俺ならソファーでねるから」
ペットボトルを受け取るとそう言った。
『ごめん…なさい…』
ベッドの上でひざを抱えている女は、深酒なんてするタイプにはとても見えない。
「何かあったのか?」 余計な事と思いながらも男は訊いていた。
何かを思い出したのだろう。女の目から涙が溢れだす。べッドに潜り込むと背中を向けた。
『ごめんなさい。気にしないで』
「何か…辛い事があったんだな」
放っておく事ができずに小刻みに震える肩に手を延ばすと、振り向いた女がしがみついてきた。
声を殺して泣く女を男はただ抱きしめていた。 まるで小さな子供をあやすかのように。
つづく