『何かあったという訳じゃないんだけど…』
そう言いながらも、僕の問いに心細げに不安を口にする彼女。
和美ちゃんはベタベタしたり、独占欲から余計な詮索をしたりするような子じゃない。
どちらかといえば 『しょうがないわね』と、笑って許すようなタイプ。
その和美ちゃんがここまで不安がるのには、やはり何か感じるものがあるのだろう。
「…ひどい奴だな」
思わずそう言ってしまった僕に、彼女が慌てて彼を庇う。
『そんな…。私が…いけないの。だって…いつも通りなのよ。何にも変わってないの』
彼を思う気持ちが痛いほどに分かって愕然とする。
「そうだね。きっと思い過ごしだね」 彼女の頭をそっと胸に引き寄せた。
『ただ…』 大きなため息をつくと言った。 『何なんだろうね?』
そう言って寂しそうに笑う彼女に胸が締めつけられる。
「信じ…たいんだよね?」 そう訊く僕に肩を震わせ彼女が頷いた。
彼女の溢れる涙を拭うとおでこに口づける。
『なお…き君?』 彼女が驚いて顔をあげた。
「元気になるおまじない♪ 和美ちゃん、こんなに魅力的なんだもん。 きっと思い過ごしだよ」
そう言うとあっけに取られたような顔をする。
「どうしたの?」
『何か…直樹君がそんな事言うなんて…意外』 そう言って見つめ返してくる。
「そう?僕だって、これ位の事は言うよ(笑)」
『ふふ…( ´艸`)』 やっと少しだけ和美ちゃんが笑ってくれた。
「もう…大丈夫だね。 僕は帰るよ」
『…ぅん。…ありがとう』
「今回…だけだからね(笑)」
『え?』
「僕だって…男だって事!今度はおでこだけじゃ済まないからね(笑)」
悪戯っぽくそう言うと、僕は彼女の部屋を後にした。
つづく