サチの部屋にたどり着くと、既にサチは帰宅していた。
『雄輔…どうしたの?』 部屋まで訪ねて来た俺に驚いている。
考えてみれば、送ってきた事はあっても、突然こんな風に来たのは初めてだ。
『とりあえず、あがって』 サチに促され、サチの誕生日以来で部屋に入った。
「今日、サチの代わりに担当になった取引先に挨拶に行ってきた」
『そう』 サチはキッチンでコーヒーを淹れている。
「…何で…担当、外れたんだよ? …あっちの担当、お前のオトコだろ?」
背中を向けていたサチの動きが止まった。 その背中に近づいていく。
『…どうして?…どうして雄輔があの人の事、知ってるの?』
「お前が出張から戻った日、駅に迎えに来てるの見た」
『…それって? 雄輔も来てた…って事?』 サチが振り向いた。
「それは…」 俺はぐっと詰まってしまった。 顔が赤くなっていくのがわかる。
あ~、もういいや! 「そうだよ!行ってたよ!サチに会いたくて・・・我慢できなかったんだよ!」
『雄輔?』 サチが驚いた顔をしている。
「ああ、そうだよ!俺はお前が好きなんだよ!嘘なんかじゃなくて、本気で・・・」
一気に捲くし立てると、サチを抱きしめた。
「わり~な。重荷だよな。そう思って…怖くて…ずっと言えなかった」
『馬鹿…。雄輔…彼女は?』
「…別れた。サチとこうなって少しして…」
『馬鹿…』
「ああ馬鹿だよ。仕方…ね~だろ?好きんなっちまったんだから。言ってくれ…重荷だったら」
『馬鹿…。重荷に…思う訳ないじゃない。 ずっと…雄輔を独り占めしたい…って思ってたのに…』
驚いた俺は、サチを身体から離して顔を見た。
『…言ったでしょ?愛してる…って。 あれ…私も嘘なんかじゃない。 もう…大分前から雄輔だけなの』
潤む瞳で俺をじっと見上げてくる。
「…じゃあ…何であの日…?」 サチを問いただした。
『もうずっと会ってなかったから…会わないようにしてたから…最後の話…してきたの』
俺を見上げてたサチの目から涙が溢れた。
『女が、代わりってだけであんなに何回も抱かれると思う?誰でもいいと思う?
好き…じゃなかったら、あんなに求めたりしないよ。あんなに…感じたり…しないよ』
そう言うと、サチが真っ赤な顔をしてうつむいた。
「サチ…愛してるって、言ってもいい?」
『うん…言って…』 サチが俺にもたれてきた。
「サチ…愛してる」 サチを抱きしめ直すと、その耳元で囁いた。
おしまい