「ほれ」
砂に足を取られてる私に雄輔が手を差し出した。
私が戸惑っていると、「しょうがねぇな(*´Д`)=з」って感じで笑って、私の手を掴んだ。
大きくて、あったかい手・・・雄輔本人と同じだ。
雄輔が一緒にいてくれるのは嬉しいけど、ずっと傍にいたいけど、それって、雄輔にとってはどうなんだろう?
雄輔には私なんかより、もっと若くて、何にも背負うものがない人の方が・・・。
私は剛士に言われた事も忘れて、そんな事を思っていた。
「香夏子?もしかして、自分は貰うばっかりで、何にも返せない・・とか思ってね?」
『・・・』
「ホント、分ってねえよな・・」 雄輔は優しい顔で笑うと、話し始めた。
「俺もね、大好きだった人、亡くしてんの。
まだ高校ん時の話だから、今から思えばガキの恋だったかもしんねぇけど、
でも、本気でそいつの事、大好きだった。
いつか、そいつの事をちゃんと守れる男になりてぇ・・って。
ところが、俺が一人前の男になる前に病気で逝っちまった。
(雄輔は幸せになってね)って、最後に笑った顔が忘れらんなくって・・・。
俺さ、遺されたヤツは逝っちまった人の分まで幸せになんなきゃって思うんだ。
そいつの分まで、楽しんで、笑って・・・実際そうしてきたつもりだけど・・・
でも、誰と付き合っても、あん時のような気持ちには、なれなかった。・・・何か違うなって。
忘れるってんじゃないけど、ちゃんと新しく誰か愛して、その人、幸せにして、俺も幸せんなって・・・
そう思ってんのに、全然ダメで・・・気持ち、動かなくて・・・。
それが香夏子に会って、何か今まで会った人とは違うもの感じて・・・
で、彼の事聞いて、なんか納得して、気がついたら好きんなってた。本気で(笑)
俺ね、香夏子が笑っててくれれば、それでいいの。香夏子の笑顔を守りたいの」
雄輔が私を抱きしめた。
「・・・香夏子、お前が俺を支えにしてくれてる様に、俺にとっても香夏子が支えなの」
雄輔・・・。私、雄輔に出会えて・・よかった。
「香夏子・・・。俺たち、出会えてよかったな・・・」
同じ事を思ってくれてる事に、また涙が溢れてきた。
それからすぐ、私達は一緒に暮らし始めた。 少しして、子供も手元に引き取った。
今までバラバラだったのが不思議なくらい、3人でいる事が自然だった。
そうして、1年が過ぎた。
<香夏子、順調か?> 剛士が声をかけてきた。
『ん。タイムテーブル通り(^_^)v』
<ば~か(笑) そっちじゃねぇよ>
剛士は少し膨らみの目立ってきた私のお腹を見ると、そう言って笑った。
おしまい