「愛してんだ?」と雄輔に聞かれ、言葉に詰ってしまった。
直樹君とは雄輔と別れて少しした頃、仕事で出会った。
まだ新しい恋なんて、全然考えられなかった頃。
それでも不思議と直樹君には最初から好きな事がポンポンと言える安心感があった。
直樹君が穏やかで聞き上手だったからだろうか?。
直樹君も私の方が年上だから、女の私ににいろいろ言われても気にならなかったのかもしれない。
一緒の仕事が終ってしまって、
〈でも、これからもハルカさんと会いたいんです〉と言ってくれた直樹君とお付き合いするようになった。
雄輔の時のような強い思いはなかったけれども、直樹君との関係は楽で居心地のいいものだった。
確かに直樹君の事は好きだけど、これって『愛してる』って言えるのかな?
『プロポーズされてるの』私は雄輔に打ち明けた。
「何か問題あんの?誰かに反対されてるとか…」
プロポーズされてると聞いて、俺はそう尋ねた。
だって、優しいヤツでハルを大切にしてくれて、そんなヤツにプロポーズされてるのに、
ハルの表情が何だか浮かないものだったから。
『自信がないの』 ハルが言った。
「自信?何の?」
『・・・彼を愛してるって自信。こんな私でいいのかな?って、彼に申し訳なくて・・・』
まだ雄輔の事が忘れられないの。愛している。・・・その言葉はのみ込んだ。
終った事。今更どうこうなんて考えていない。想像する事はあるけれど、それだけ・・・。分ってる。
「ハルは好きじゃねぇ~の?そいつの事?」 少しイラついた口調で雄輔が言う。
『好きだよ。一緒にいるのが楽で、とても居心地がいい。でもね、雄の時のような激しさはないの』
私は自分に問いかけるように言った。
『これで、愛してるって言えるのかな?』
雄輔が呆れたようにフッと笑った。
相変わらずだな、こいつは( ̄▽ ̄)=3 俺は笑ってしまった。
「ハル?その事、彼氏に言った?」
怪訝そうな顔で俺をみる。
そんな事、言えるわけないじゃない! そう言いたそうな顔。
「大切な事だぞ。ちゃんと言葉にしねぇと・・・」
俺はハルの顔を覗き込むと、ゆっくりと言い聞かせるように話した。
「面倒な事考えずに、正直にそのまま話してみな。後は・・・それからだ」
「黙ってるのは・・・よくねぇぞ」 黙ったままの私に雄輔が諭すように言う。
でも、雄輔にそう言われても、私はまだ決心できずにいた。
「ハル?まだ俺の事、好き?」
そんな風に言われて、さっきのみ込んだ言葉が思わず口をついて出る。
『好きよ!今でも愛してる。・・・そう、たぶん彼よりも』
「俺も今でもハルの事、好きだよ。・・・たぶんそいつにだって負けねぇ。そんくらい思ってる」
雄輔の顔は真剣だった。
「でもさ、俺は何もしてやれねぇ・・・。傍にいることも、抱きしめてやることも・・・」
「そいつ、ハルに寂しい思いさせる?」 首を横に振った。
『傍にいてくれる。抱きしめてくれる。いつも・・・幸せくれる。大切な人・・・』
「じゃあ、もうわかっただろ?比べる事ねぇ~の!ハルはそいつの事、愛してんの!(-^□^-)」
雄輔が笑った。
ハルが笑った。ホッとしたように。
「そう!その笑顔!」
『え?』
「俺と出逢った頃と同じハルの笑顔。・・・やっと見れた」
『雄・・・』
相手が俺じゃないのはちょっと悔しいけど、でもハルが幸せならそれでいい。そう思った。
「やっと見れた」 雄輔はそう言ったけど、私も久々に見たよ、雄のその笑顔。
一緒の道は歩けなかったけど、いつまでもお互いを思って、幸せを願ってる。
・・・そんな関係も悪くないね。
またいつか会える時があったら、その時も笑顔で・・・。
私が思ってる事が分ったのかどうか、雄輔が頷いた。
つづく