【恋夢想】南の島~ひと夏の恋~・・・5 | カンタ印  元気印

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日々の出来事、思った事などをとりとめもなく...

翌朝は、雄輔の腕の中で目覚めた。

何度も抱かれてはいるけれど、こんな風にその腕の中で眠ったのは初めてだった。

昨夜は、突然現実のものとなったタイムリミットに動揺したのだろうか?

珍しく深酒して、酔っぱらってしまった。

そして、らしくもなく雄輔に甘えてしまっていた。

雄輔もいつもと違った様子でハシャぐ私に

「今夜はどうした?」なんて言いながら、苦笑いしていた。

でも、『らしくない私』には、久々の何とも言えない心地よさがあった。

もう随分と長いこと、こんなゆったりした時間も、感情を表に出す事も忘れてしまっていた。

雄輔の無邪気な笑顔がそうさせたのかもしれない。

愛し合うことはあっても、いつも別のベッドで眠っていた雄輔と昨日は離れたくなかった。

『今夜は一緒にいて…』 そう言った私に、雄輔も黙って頷いた。

私の髪を直しながら、見つめてくる眼差しが優しかった。



雄…あと1週間は私のものでいてね…。

目の前の雄輔の寝顔を眺めながら、何度も重ねた唇にそっと触れてみた。

「…う~ん」 雄輔が薄目を開けた。

もう少しこうしていたくて、、私は慌てて目を閉じると、眠っているフリをした。



唇に何かが触れた感覚で目を覚ますと、腕の中に藍の温もり。

今までとどこか違うやわらかい表情で眠っている。

昨夜は、『散歩した~い♪』と言い出した藍に、ホテルに続く坂道の手前でタクシーを降り、砂浜に出た。

星の光しかない真っ暗な中、繋いだ手を引き俺の前を歩いていく。

『きゃっ!』

「どした?」 藍の叫び声に慌てて尋ねると、そのまま手を引っ張られ、足に波を被ってしまった。

いつの間にか波打ち際まで来てしまっていたらしい。

驚く俺に声をあげて笑い転げる。

「藍…お前は(どうして…)」

初めて見る無邪気な藍に、抱えていた疑問を思わず口にしかけて止められた。

『〈ひと夏の思い出〉なんでしょ?』 ハシャいでいた藍の声のトーンが落ちた。

『〈You〉と〈 I 〉 それでいいじゃない?』 

無言の2人の間を波の音をのせた風が通り抜けていく。

『雄…少し寒くなってきちゃった。帰ったら、温めてくれる?』 そう言った藍を抱き寄せた。



あと、1週間…。 もっといろんな藍を見てみたい。

藍が起きたら、今日は2人で一緒に出かけてみようか?

でも今は…

もう少し藍の温もりを感じていたくて、俺はまた目を閉じた。

                                                       つづく 



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