【恋夢】強がり…8 | カンタ印  元気印

カンタ印  元気印

日々の出来事、思った事などをとりとめもなく...

『そろそろ帰ろうかな?』 何杯目かのグラスを空けるとそう言った。

「明日も仕事?」 隣で飲んでいた雄輔が訊いてくる。

いつもの店。

一緒の仕事が無事に終わり、打ち上げの後、ここにやって来ていた。

『ん~、そうじゃないけど、少し疲れたかな?(笑)』 そういうと私は先に店を後にした。

あれからも仕事で顔を合わせ、時にはこんな風に飲むことはあったけれども、店で別れるようにしていた。

何も言わないけれども、雄輔もそれは同じで、暗黙のルールのようになっていた。

そう。お互い、自分の気持ちに予防線を張っていた。



〈雄輔、何かあったか?〉

真美が帰った後も1人で飲み続ける雄輔にマスターが声をかけてきた。

雄輔は口の端をあげて微かに笑うと、上目使いにマスターを見た。

「参ったなぁ…」とでもいうように。

〈付き合い、長いからな(笑)〉

あまり歳の変わらないマスターとは先代のマスターの時からの付き合い。

友人のような兄のような存在でもあった。

飲みかけのグラスを空けると雄輔は言った。

「転勤が決まったんすよ(笑)」

〈そうか・・・〉 新しいグラスが雄輔の前に差し出される。

〈いつ行くんだ?〉

「来月からの勤務なんで、今月中には…」

〈そか…〉 

そのまま会話は途切れ、店内に流れる曲が2曲目に入った頃…。

〈いいのか?このままで…〉 マスターが再び口を開いた。

「だって、今さら…」

〈雄輔!!〉 言いかけた言葉をマスターが遮る。

〈お前、何にも真美ちゃんに話してないだろ?〉

強い口調で言って睨むように雄輔を見据える。

〈いい加減、素直になれよ…。全部、正直に話せ。な?〉

「…」思わず目をそらした雄輔に諭すように言った。

〈雄輔…。言いたい時に言っとかないと、伝えられるときに伝えとかないと、後悔する言葉ってあると思うぞ〉

マスターは煙草に火を点けると、煙を吐き出した。

〈俺みたいに…相手があの世に行っちまった訳じゃないだろ?〉

初めて聞く話に雄輔は驚いて顔をあげた。

〈昔の話だ(笑)。 その気になりゃ、いつからだって『遅い』なんて事はねぇんだよ〉

マスターはそう言って笑うと雄輔の頭を軽く小突いた。

                                                      つづく



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会長~~~~~~!ありがと♪v(^-^)v