「明日も仕事?」 隣で飲んでいた雄輔が訊いてくる。
いつもの店。
一緒の仕事が無事に終わり、打ち上げの後、ここにやって来ていた。
『ん~、そうじゃないけど、少し疲れたかな?(笑)』 そういうと私は先に店を後にした。
あれからも仕事で顔を合わせ、時にはこんな風に飲むことはあったけれども、店で別れるようにしていた。
何も言わないけれども、雄輔もそれは同じで、暗黙のルールのようになっていた。
そう。お互い、自分の気持ちに予防線を張っていた。
〈雄輔、何かあったか?〉
真美が帰った後も1人で飲み続ける雄輔にマスターが声をかけてきた。
雄輔は口の端をあげて微かに笑うと、上目使いにマスターを見た。
「参ったなぁ…」とでもいうように。
〈付き合い、長いからな(笑)〉
あまり歳の変わらないマスターとは先代のマスターの時からの付き合い。
友人のような兄のような存在でもあった。
飲みかけのグラスを空けると雄輔は言った。
「転勤が決まったんすよ(笑)」
〈そうか・・・〉 新しいグラスが雄輔の前に差し出される。
〈いつ行くんだ?〉
「来月からの勤務なんで、今月中には…」
〈そか…〉
そのまま会話は途切れ、店内に流れる曲が2曲目に入った頃…。
〈いいのか?このままで…〉 マスターが再び口を開いた。
「だって、今さら…」
〈雄輔!!〉 言いかけた言葉をマスターが遮る。
〈お前、何にも真美ちゃんに話してないだろ?〉
強い口調で言って睨むように雄輔を見据える。
〈いい加減、素直になれよ…。全部、正直に話せ。な?〉
「…」思わず目をそらした雄輔に諭すように言った。
〈雄輔…。言いたい時に言っとかないと、伝えられるときに伝えとかないと、後悔する言葉ってあると思うぞ〉
マスターは煙草に火を点けると、煙を吐き出した。
〈俺みたいに…相手があの世に行っちまった訳じゃないだろ?〉
初めて聞く話に雄輔は驚いて顔をあげた。
〈昔の話だ(笑)。 その気になりゃ、いつからだって『遅い』なんて事はねぇんだよ〉
マスターはそう言って笑うと雄輔の頭を軽く小突いた。
つづく
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
会長~~~~~~!ありがと♪v(^-^)v