勝負は、あっけなくついてしまった。
東海道は峠とは違い、人も多い。
いくら速度の出せる馬に乗っていようと、
すり抜け本気組の武士達の俊敏な動きには、
全くといって良いほど歯が立たなかったのじゃ。

「や〜い!!ブサイク!淫乱!あばずれ〜!」
武士達は勝ち誇った様子で姫を罵倒して去っていった。
「…どうしてじゃ…コスプレして大黒に来るのがそんなにいけない事なのかの…」
泣いている姫を気遣って、
集落の者ではない囲いたちまでもが、
姫を家まで送っていこうとした。

そのときじゃった。
集落の男である六郎が言った。
「その必要は無い、あまり大勢で送り届けても
泣いている姫に恥をかかせてしまう
ここはワシが静かに送り届けようぞ」
同じ集落の男たちも、彼の言葉に納得し、
後から集落へ戻ると言って二人を見送ったのじゃった。

六郎は悪知恵が働く男じゃった。
純粋な童貞ばかりの囲いたちを騙して見事、
姫と二人きりになるチャンスを得たのじゃ。
「(姫がメンタル的にボロボロの今なら、姫とワンチャンも容易じゃろうて…)」
ワンチャンとは、ワンチャンスセックスの事じゃ。

姫と二人、馬で集落へと向かう間、
六郎は優しい言葉で姫を慰め続けた。
その優しい言葉に姫は、
このまま六郎の優しさに溺れたいと、
一瞬そう思ったのじゃった。

「なぁ六郎や…今晩は、一緒に眠ってくれんかの…?
あの意地悪な武士達が夢に出てきそうで
おっかないんじゃ…」
集落で馬から降りた途端、姫は六郎の肩を抱き、
呟いたのじゃった。

六郎は内心、踊り狂いたい気分であった。
「(うへへへ…これで姫もワシのものじゃ…)」
その晩、二人は後から戻ってきた集落の男たちに気付かれぬよう、
静かに愛しあったのじゃった。
しかし、六郎の外見は、
姫の好みとは程遠かったのじゃ。