◆小説◆ARIA~最終章~① | ◎ゆりかご◎の多種多様な日々ヾ(。>﹏<。)ノ゙✨

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最終章~愛の形~




しばらくしてケンは慌ただしく下の階での騒ぎ声に目をさます。ゼグスさんとルカの声…?不思議に思い部屋を出ようとすると、部屋のドアが開かない。そして、ドアごしに叫び続けて数分、ゼグスが扉を開けてくれてケンを下の階へと連れ降りた。そこには応急処置された母親の姿…。ケンは動揺を隠せずにいたが、ゼグスの一言に気を引き締める。


「救急車…呼んだから…サラさんを頼むよ」
ケンは強く頷き、また慌ただしく飛び出していくゼグスとルカの背中を目で追った…。

 

 


***********************

どこに行ったんだろうサクラは…


ルカと親父大丈夫かな…


時間が立つたび気が気じゃない感覚に襲われながらも僕はケイさんと森中を走り回っていた。日も少しでてきて衣服がまとわり汗ばんでゆく…。だけど…今、女の子の叫び声が聞こえた??

僕はケイさんと顔を見合わせて、その方向へと足を早めた。
すると…先に見えてきたのは大きく広い湖…。そして今朝見たサクラの顔と長い髪…。

そう 顔と 長い髪…



僕は息を呑んだ。

だって…目の前のサクラらしき姿は…人間の体らしき体の形をしていなく…不自然な位置に少女の…顔がある…。


「…見ないで!!」
悲痛な少女の叫び声…だけど顔を隠したいも手らしき手もなく…ただ僕たちの前にその得体の知れない姿をさらけ出している…。
「…サクラ…大丈夫?」僕はそう…サクラに話かけていた…。もちろん恐さを感じないわけではない。だけど…あまりにサクラの顔が涙でいっぱいだったから…。目を真っ赤にして彼女は言う…。
「初めてなの…。だって地下には鏡とかなかったし…。湖に映った自分が…こんな…はじめてなの……」
サクラは焦点の合わない瞳で僕たちに力無くうったえかけてくる…。その光景はほんと凄まじいものがあった。サクラの意思を無視するかの様に増殖する細胞…?気がつけば僕は彼女を見上げる姿勢になっていた。

ケイさんは、ただただ身体をこわばらせ…さくらの様子を伺っていた。そして、見るに見兼ねた僕の言葉は逆効果だったみたい…。
「サクラ…戻って治療しよ…」
いい切らないうちにサクラが過敏に反応し
「いやあああああ!!!!!!!!!!!」

気が付けば手が…体中が血に染まって…いた…。


「…!!?…親父?!」

僕の…血じゃなかった。サクラの暴走が僕に降り懸かる直前、親父が身体をはって僕を助けてくれていて…。

「ケイさん!!!!医者…呼んできて!!!」僕は無我夢中で叫んでいた。親父は必死に短い呼吸をしながら苦しさに顔を歪めている。僕は自分の服を一部破り、止血に急いだ。すると親父は…「怪我がなくてよかった…唯一血の繋がったひとり息子だから…ね…」なんて僕に言うものだから、僕は泣くはずじゃないのに涙が止まらなくなり、かといって手を休めるわけにもいかないので、親父の血は僕のこぼれた涙で染まっていった。

あんなに僕をほったらかしにした親父は…本当は様々な事情があって…。忙しさに心奪われる中でも、僕をちゃんと大切に思ってくれていた。その証拠が今の姿…。初めて触れた親父の温かみ。

僕は本気で親父を失いたくないと思った。
 

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