臓器を保護する硫化水素に第4の生合成経路-腎疾患治療への応用に期待 | ひめぽんたのブログ

ひめぽんたのブログ

ひめぽんたは愛媛県腎臓病患者連絡協議会のマスコットです

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所の研究グループは、硫化水素を体内で合成する経路を新たに発見した。硫化水素は腐卵臭を放つ毒ガスとして知られるが、近年の研究では、体内で合成された微量な硫化水素に、脳や腎臓などさまざまな臓器や組織を保護する役割があることが分かっている。今回発見された経路では、既に知られている経路より効率よく硫化水素を合成しているといい、同センターでは、慢性腎不全の進行を遅らせる治療薬などへの応用に期待を寄せている。


 同センター神経研究所神経薬理研究部の木村英雄部長らは、毒ガスとして知られる硫化水素が、脳の中では神経伝達の調整役として働いていることを1996年に世界で初めて発見。その後の研究では、硫化水素が心筋や腎臓を「虚血再灌流障害」から保護することが明らかになっている。

 生合成の経路に関しては、アミノ酸の一種「Lシステイン」を基にして始まる3通りを木村氏らが2009年までに報告している。これに対して、木村氏とNCNP神経研究所・薬物動態研究室の渋谷典広室長らが今回発見した経路は、Lシステインの鏡像異性体である「Dシステイン」から硫化水素を生合成するのが特徴で、脳と腎臓では、従来の経路に比べ効率的に合成される。特に腎臓では、80倍の効率で生合成されることも突き止めた。

 一般に、Lシステインは興奮毒性があるため、大量に投与すると危険だが、Dシステインには副作用が少なく、マウスを使った実験では、腎臓の虚血再灌流障害が大幅に軽減されたという。

 慢性腎不全など腎疾患の患者は国内で年々増加しており、11年度には、腎不全による死亡が日本人の死因の第8位を占めている。木村氏は「慢性腎不全による人工透析導入への進行を遅らせる治療薬や、移植腎の保護薬への応用が期待される」としている。【兼松昭夫】 (CBニュースより)