動物の体内で成長させた再生腎臓から、尿を体外に排出させる実験に成功したと、東京慈恵会医科大の横尾隆教授(腎臓再生学)らのチームが、米科学アカデミー紀要に発表した。
これまで、腎臓の再生はできていたが、排尿させることができなかった。チームは「腎臓の再生医療の人への応用に向けた大きな一歩」と説明する。
腎臓で作られた尿は、尿管を通ってぼうこうにためられ、体外に排出される。当初、新しく作った腎臓と元からあるぼうこうを人工の管などでつないで排尿を試みたが、人工の管は尿をぼうこうに 送る収縮運動ができず、機能しなかった。
チームはラットの胎児から腎臓や尿管、ぼうこうに成長する前の未熟な組織を取り出し、大人のラットの体内で発育。小林英司・慶応大特任教授らによる顕微鏡を用いた手術の技術を使い、 成長した腎臓、ぼうこうを元からあるぼうこうと尿管でつなぐことに成功。排尿を確認した。尿には、正常な腎臓で作られる尿の3分の1以上の毒素が排出されていた。人は正常な腎臓の1割程度の
機能があれば人工透析を回避できるとされ、機能も問題なかった。
チームは、ブタでも同様の手法で排尿を確認し、サルを使った実験にも着手している。未熟な組織が臓器へ成長する「スイッチ」を入れるには、動物の体へいったん移植することが必要で、 動物を利用することに倫理面や種を超えた感染症などの問題があるが、横尾教授は「10年以内に人への応用を目指したい」と話す。
日本透析医学会によると、2013年末に腎臓病を患って人工透析を受けている国内の患者は31万4180人。深刻な腎不全の患者は腎臓移植を受けるしかないが、日本臓器移植 ネットワークによると今年8月末現在、移植希望の登録患者が1万2619人に達するのに対し、移植数は脳死と心停止後を合わせても111件。腎臓の再生医療への期待は高い。【藤野基文】
愛媛大病院(愛媛県東温市)は8月26日、四国地方で初となる脳死肝移植手術を受けた男性が亡くなったと明らかにしました。詳しい死亡時期や死因を明らかにしておらず、「遺族から公表の同意を得られていない」と説明しています。
愛媛大病院は8月、臓器移植法に基づく脳死と判定された東京都内の病院に入院中の60代男性の肝臓を、劇症肝炎で入院中だった男性に移植しました。
手術後、肝臓は正常に機能し、容体は安定していたが、その後悪化し、死亡したという事です。(共同)
厚生労働省は8月27日、C型肝炎の新しい飲み薬「ハーボニー」(一般名レジパスビル・ソホスブビル配合剤)による治療を医療費助成の対象とすることを決めた。1錠(1日分)は約8万円で12週間、毎日服用するが、助成で患者の自己負担は月額最大2万円となる。保険適用となる今月31日の治療から助成する。
C型肝炎患者の7~8割を占める遺伝子型「1型」で、慢性肝炎と初期の肝硬変の患者に効果があるとされ、重い副作用を伴うことがある従来のインターフェロンの注射が不要となる。
別の飲み薬による治療で助成を受けたことがある患者については、肝疾患拠点病院の専門医が、再治療が適切と判断したことを主治医が確認した上で申請できる。
【共同】