一流ホテルの廊下を真夜中にパジャマでうろつくのは、どうも心もとない。ぬすっとの心境。誰にも見つからずに、無事、彼の部屋に着くと、ドアを開けて彼が待っていた。


いややわ・・・なんか、恥ずかしい。あやしい雰囲気を避けたくなった私が口にしたのは、


「いやあ、お互いパジャマ、なんて修学旅行みたいですねえ!わいわいやりましょうよ!」・・・だった。


KYのふり・・・でもちょっと虚しい・・・


サイドテーブルには、腕時計と指輪がきちんとそろえて置かれていた。パイロット専用の腕時計ということで、文字盤が大きく、暗闇でもオレンジの蛍光色を発して光っている。なるほど、夜間飛行にも便利そう。指輪には鷲とライオンが刻まれている。彼はドイツ騎士団の家系で、指輪はその家紋だとか。昔はこの指輪を、ろうに押し付けて手紙を封印したそう。うん、うん、映画で見たことあるわ。


でも、「僕もためしに一回やってみたけど、あまりうまくできなかった」・・・そうだ。


そんな話をしているうちに、なんと私はこっくりこっくり船を漕ぎ出した。


「眠そうにしてはりますね。すみませんでした。もう部屋に帰ってゆっくり休んでください。」


その日、私は早朝から、7時間ぶっ通しの会議で、疲れまくっていたのだ。そのまま、よろよろと部屋に戻り、朝まで眠りこけた。


翌朝目が覚めた私は、彼の紳士的な態度に、


「パイロットって、みんな遊び好きって言うけど、あんなちゃんとした人もいるんやん!」


とちょっと感激。ところが・・・・