菅田将暉と原田美枝子が親子役で主演を務めたヒューマンドラマ。プロデューサー、脚本家、小説家として数々の作品を手がけてきた川村元気が2019年に発表した同名小説を、自ら長編初メガホンをとって映画化した。

レコード会社に勤める青年・葛西泉と、ピアノ教室を営む母・百合子。過去に百合子が起こしたある事件により、親子の間には埋まらない溝があった。ある日、百合子が認知症を発症する。記憶が失われていくスピードは徐々に加速し、泉の妻・香織の名前さえも分からなくなってしまう。それでも泉は、これまでの親子の時間を取り戻すかのように献身的に母を支え続ける。そんなある日、泉は百合子の部屋で1冊のノートを発見する。そこには、泉が決して忘れることのできない事件の真相がつづられていた。

出産を控える泉の妻を長澤まさみ、事件と深い関わりを持つ男を永瀬正敏が演じる。










足完成披露試写会にて
満開の桜舞い散る春に、家族だけで見送った母を思い出しました。
年月の流れとともにすっかり曖昧になってしまった母との思い出…それが鑑賞3日目あたり、胸の奥に仕舞い込んでいた箱から次から次へと飛び出してきて戸惑っています。
きっと本作が記憶の箱を開ける鍵になったのかもしれません。
本作は私にとってまさに「見るべき映画」でした。

菅田将暉さんと原田美枝子さんという最高の組み合わせ。
親子役が本当に素晴らしかった。それにとても難役でしたね。
小説家としての川村元気さんが好きで作品は必ず読んでいますが、いよいよ映画監督デビューということで長澤まさみさんはじめ今村撮影監督など、最強のキャストとスタッフが名を連ねていました。

生きていれば間違いや後悔もある。楽しかった記憶より辛かった記憶の方が痛烈で心に刻まれがちですが…
一番最期に何をもって逝きたいか?
何を大切な人に遺したいか?
…そう問われた気がしました。

記憶と愛の美しい物語。
大スクリーンでぜひぜひ。


■川村元気監督が危惧したこと

川村:意地悪……なんだろうなあ。まあ、小説を書くような人というのは、意地が悪いんです。人間が言われたら嫌だろうなということや、わざわざ隠していることをほじくり返して文章にして読んでもらうわけですから。物語ってそもそも、そういうものなのですが……。

今回怖かったのは、原作も脚本も書いているから、自分の中でガチガチにイメージがあること。それで現場に臨んだとき、イメージ通りのものを俳優に押し付けて撮れたとして、何が面白いんだろう? という思いがあったので、前半は特に具体を言わないようにしていたんです。原田さんから「何が撮りたいの?」と言われた時に、一気に話してしまいそうになったんですが、言った瞬間に面白くなくなると……。そういう状況下で、原田さんと菅田くんの中から、どうしたら僕の想像を超えるものが引っ張り出せるんだろうかと、新人演出家として困っていたし、悩んでいたというのが正直なところです

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