2019年に香港で起きた民主化デモの様子を捉えたドキュメンタリー。

2019年、中国当局の締め付けによって自由が失われゆく香港で、民主化を求める大規模デモが起きた。発端となったのは、犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」が立法会に提出されたことで、参加者たちは同案の完全撤回や普通選挙の導入などを5大要求として掲げ、6月16日には香港の人口の約3割を占める約200万人にまで参加者数が膨れ上がったという。



警察との衝突が激しさを増していく最前線の様子を中心に、リーダー不在ながらもSNSを駆使して機動的に統制されていた実態や、立法会、地下鉄駅、香港中文大学、香港理工大学など各地のデモの様子を約180日間にわたって記録し、大きな運動のうねりを多面的に描き出す。







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2019年に香港で起きた民主化デモ。このデモが過去の運動と一線を画すのは、明確なリーダーがいないという点。ネット上での呼びかけに呼応した者が香港立法会(中華人民共和国香港特別行政区の立法機関)に突入すれば、デモ参加者はテレグラムと呼ばれる通信アプリを使い、匿名や偽名を使って連絡。臨機応変に参加者の役割を決めて動くあたりなどは、戦略を立ててプレイするシミュレーションゲームに慣れ親しんだ現代の若者を象徴する。
このデモのやり方を、参加者たちは“Be Water”(流水革命)と呼ぶ。もちろんこの言葉はブルース・リーの言葉「Be Water(水になれ)」が語源。洪水や津波のように、時には押したり、時には引いたりするデモ活動で警察をかく乱する。ドローン空撮による参加者たちの動きは、まさに水そのものだ。
その水を止めようとする警察やトライアドの暴力は、まるでディストピア映画を観ているようだが、すべては現実に起こった事。ディストピアと化した香港は、ユートピアになるのか?
本作同様に、自国香港で上映不可となっている『Blue Island 憂鬱之島』と併せて観るべし。