「岬の兄妹」の片山慎三監督が佐藤二朗を主演に迎え、姿を消した父親と、必死に父を捜す娘の姿を描いたヒューマンサスペンス。大阪の下町に暮らす原田智と中学生の娘・楓。
「指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」と言う智の言葉を、楓はいつもの冗談だと聞き流していた。

しかし、その翌朝、智が忽然と姿を消す。警察からも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にされない中、必死に父親の行方を捜す楓。やがて、とある日雇い現場の作業員に父の名前を見つけた楓だったが、その人物は父とは違う、まったく知らない若い男だった。

失意に沈む中、無造作に貼りだされていた連続殺人犯の指名手配チラシが目に入った楓。そこには、日雇い現場で出会った、あの若い男の顔があった。智役を佐藤が、「湯を沸かすほどの熱い愛」「空白」の伊東蒼が楓役を演じるほか、清水尋也、森田望智らが顔をそろえる。

監督

片山慎三



高校卒業後上京し、映像系の専門学校に通い10代の終わりからテレビ現場に入り、04年頃から助監督を経験する。07年頃に韓国人の後輩ジョン・ヒジリより「今度、ポン・ジュノ監督が東京で短編を撮るらしいですよ。片山さん、助監督やりませんか?」と誘われ、『TOKYO!』(『シェイキング東京』)でポン・ジュノ組に参加する。『シェイキング東京』の現場でのポン・ジュノ監督の映画に対する姿勢に感銘を受け、もっとこの監督のもとで学びたいと思い、ノーギャラで良いからと頼み込み『母なる証明』にも助監督して参加する。

監督作品『岬の兄妹』、『そこにいた男』ともに実際にあった事件を元にした脚本になっており、『殺人の追憶』などポン・ジュノ監督からの濃い影響がうかがえる。