フランスを代表する巨匠ルネ・クレール監督が、お人よしの男が殺人犯をかくまったことから巻き起こる騒動を描いた人情喜劇。パリの下町で暮らすジュジュは、仕事もせずに酒に溺れる毎日を送っていた。そんなある日、近所に暮らす音楽家の友人の家に、警官を殺したピエールが逃げ込んでくる。

2人はピエールを追い出そうとするが、負傷した彼を放っておけず、かくまうことに。ところが、ジュジュがひそかに思いを寄せているマリアがピエールに夢中になってしまい……。「天井桟敷の人々」の名優ピエール・ブラッスールが、ろくでなしだが憎めない主人公ジュジュを熱演。シャンソン歌手ジョルジュ・ブラッサンスが音楽家の友人役を演じる。1957年製作・公開。

2019年6月、クレール監督の生誕120周年を記念して4Kデジタルリマスター版が公開。2021年10月にもルネ・クレール没後40周年にあわせた「ルネ・クレール レトロスペクティブ」でも4Kデジタルリマスター版が公開。

映画レビュー
丸ブルーフォアグラの缶詰か、偶然にも強盗をかくまうことになるまでが、単純ながらも上手く作られている。ビストロの店主がニュースを読み上げるときに、子どもたちのバルビエごっこを映像に入れることも凝っている。

 バルビエの世話をし、逃亡の手助けをするあたりは全体的にコメディタッチであるが、ジュジュが生きがいを見出したように生き生きしてくる。酒場のマリア(カレル)の設定は戦後混乱期における自由な女性を象徴しているような存在であり、好感が持てるなぁ。

 奇妙な友情の話も素敵ですが、アーティストの弾き語りと子どもを上手く取り入れてることで締まった良作になっているんでしょうね。ラストをもっと丁寧に描いていたらもっと良かった。


丸ブルー信じて疑わないピュアな人々と身勝手で傲慢な人間の対比を浮き彫りにしながらユーモアと音楽で包みながら展開していく。切ないが思いやり溢れる美しい作品だった。

丸ブルールネクレールの映画から下町に敷かれる石畳からフランス映画の香りを知りパリって文化の放つ街だと知りました。リラの門これこそ人生。