奈良の手仕事に出会って
奈良の蔦屋書店さんにて、
「中原淳一的生活 奈良」というイベントを開催しています。
中原淳一の「美しく愉しい暮らし」にまつわる言葉に賛同してくださった
奈良の生産者さんたちと一緒に
目まぐるしく過ぎる毎日のなかで、ホッと息をつけるひとときのある
「暮らしづくり」に目を向けてほしい、というささやかな試み。
このご縁で知り合った素晴らしい手仕事職人のみなさまを
ご紹介させてください。
この素敵な灯りは、「あかり工房吉野」さんが作ってくださった
今回限定5個のみのコラボ作品。
昔ながらの製法を守り続ける奈良吉野の手漉き和紙で
作られています。
コウゾ100%の和紙で、国宝の修復などにも使われるものだそうです。
ほんのりピンク色の女の子は、
桜の木の皮で染めた草木染めの和紙。
下に配した草(これも淳一さんの絵)はよもぎ、
全体に飛んだ黄色いふわふわの水玉は、ねむの木の葉で染めたもの。
淳一さんのどの絵をシルエットにしたものか、もちろん
皆さますぐにわかりますよね?
作ってくださったあかり工房吉野のアーティスト坂本尚世さんは、
この絵を実際にカッターで切ってみて、
完璧なバランスで描かれている、ということがわかった、と
おっしゃっていました。
そう、この絵は、実は簡単には描けないポーズではないでしょうか。
椅子は描いていないけれど座っているバランスが完璧です。
あかり工房さんのやさしい灯りたち。
ふだん作られているあかりの多くは、
吉野町出身の坂本さんが、吉野産のヒノキを
薄く薄くスライスし、ひとつひとつ手で重ね貼りして作られているもの。
人がくつろぐことのできるあかりは、
夕陽や炎に近いオレンジ色の光なのだそうです。
しばしこの灯りだけに包まれる時間を持ってみるのも、
ひそやかな豊かさの一つかもしれません。
ちょっとした工夫と心づかいによって、
室内をたえず新しい心持ちで
生活できるようにしていれば、
どんな小さな部屋でも
明るい幸福感を抱くことが出来る。
中原淳一