2016年「それいゆ」舞台に。
1947年『それいゆ』3号表紙
2016年の幕が開きました。
中原淳一が、敗戦後の荒廃した人々の様子を見て、
哀しさや怒りの中から立ち上がり、
「どうしても伝えたいことがある」と魂を込めた雑誌、「それいゆ」。
創刊号が世に出てから、ちょうど70年が経とうとしています。
一人の人間の仕事とは信じられないくらい沢山の仕事を
多岐にわたる分野で積み重ねつづけた中原淳一の
想いの根源が「それいゆ」には詰まっています。
『それいゆ』70年にあたり、
中原淳一を伝えることを仕事にしている私達も、
もう一度原点に戻って、淳一の仕事を見つめ直したい。
そう思っていたとき、思いがけず
中原淳一の『舞台化』のお話をいただきました。
中原淳一の人生をなぞるものではなく
中原淳一の『想い』を舞台化したい。
というお話は、今年なればこそ。という願ってもないものでした。
脚本のタイトルは「それいゆ」。
主演は、若き中山優馬さんに決まりました。
70年を経て、想いは伝わって行きます。
とても
とても楽しみにしています。
生活全体の工夫が豊かになることは、
同じ条件におかれていて数倍の
美しさと愉しさを発揮できる。
一人一人がそういう技術を備えて、
美しく豊かに暮らせるのは
個人の幸福ばかりでなく、
日本全体が美しくなる。
いまの婦人達は、
すり切れてゆく畳とか
汚れた壁をどうしたらいいか、と
いうようなことに頭を使わず、
買えなくってみじめだと
嘆いているばかりではないのだろうか。
こんな時代を乗りきって
美しく愉しくというのは、
結局知性を高め、工夫する精神と
美しさをキャッチする眼を
肥やすことであろう。
若さの歓びというようなものが、
ダンスホールのチケットになって
流れてゆくのでは悲しい。
1947年 中原淳一