今日は日曜日。そして、珍しく手帳が真っ白。

 実は真っ白にできそうなので、数日前から何も用事を入れずに死守していたのでした。

 が、悲しいことに気分転換に何をしようかが決まらない。どうしたものか?

 考えたあげく、話題の映画でぜひ見たいと思っていたのに、忙しさにかまけて見損なったものを検索してみました。

 ありました、ありました。役所広司主演の「PERFECT DAYS」。青梅の小さな小さな映画館でここ数日間1日1回だけ上映しているではありませんか!

 

 「PERFECT DAYS」。日本語にすると「完全なる日々」または「充ち足りた日々」ですね。「役所広司がひたすらトイレ掃除をしている映画」とは聞いていましたが、それが「充ち足りた日々」とは?

 見てみると(ネタバレm(__)m)、ホントに毎日ひたすら都内の公衆トイレを回って掃除をしていました。

 早朝からの仕事は日が高いうちに終わり、毎日銭湯のいちばん風呂に入り、決まった飲み屋でチューハイ1杯とつまみの夕食。帰宅して本を読んでから眠る。そして、翌朝また同じ時間に仕事に出かけていく。

 たまの休日にも自分好みのルーティーンを淡々と味わって過ごす。

 映画としては、ストーリーのひねりも盛り上がりや事件もなく、まったく平板です。

 見ていてモヤモヤする。

 

 「ひらやま」(役所広司)は何歳ぐらいかなあ?、見た目は自分と同じくらいに見えるけど...、ひとりでかなり古いアパートに住んでて家族はいないのかなあ、ほんとに無口だなあ、などと思いながら見ていました。

 しかし、毎日変わらぬ生活のなかに、何かしらのほんのちょっとした変化があるのです。取るに足りないものといえばその通りの程度のものです。「ひらやま」はそれらひとつひとつを肩ひじ張らず丁寧に興味深く楽しんでいるように見えました。

 後半に彼の前半生を予想させるような事件が起きます。でも、種明かしはされません。

 ラスト近くに、清掃用具を積んだ軽ワゴンを運転する「ひらやま」の「セリフなしのスーパーロングカット」があります。運転する「ひらやま」しか画面に映りません。ただ、その表情は少しずつ少しずつさまざまに変わります。非常に印象的です。

 分かるような気はする。でも、モヤモヤは消えない。でもでも、これがスッキリしてしまうようではきっと面白くない。

 感じたのは、月並みですが、「充ち足りた生活は人によってさまざまなかたちをしている」ということでした。

 ああ、ホントに何という月並みな感想!

 

 ちなみに、私はもうシニア料金で見られるのでちょっと嬉しいです。いい映画はいい!