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Sadistic love〜scene22〜

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北人の宣戦布告にされてからの帰り道。

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頭の中を整理しながら自宅へと向かいたかったのに、昼間に連絡先を教えてしまったあいつからの大量のLINE。

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無視する…いや、それはマズイか。

新年度の異動に響くかもしらん。

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とりあえず当たり障りのない感じのLINEの返信をしたとこで、かかってきた電話。

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『マジか…直電?』


《電車の中なんですいません》


そう返事をしたら、

≪電車降りたら連絡下さい≫ってすぐに返ってきた。

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やから、そういうんがウザイんやって。 ゲームの駒にすらならん、こんなやつ。

電源切ろうってしたとこで、震えだすスマホ。

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「深月…」

電話なんて珍しい彼女からの着信。

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「もしもし…」

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「お疲れ様、…壱馬、まだ外なの?」

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「あぁ…ん」

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「…誰かと一緒?」

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「いや、ちゃうけど」

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その後の数秒の沈黙。

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『会いたいって言って欲しい』

そう思う俺は、もうゲームマスターではないかもしれない。

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「何か用か?」

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「んーん、違う」

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「今から電車やから、切るで」

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「ん」

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深月が言いたい何か…。

それは、今日の昼の事。 

『何か用か?』 圧を感じるその言葉に何もいえなくなった…そうよな。

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自分に都合のいい事は言うて欲しい癖に、そうじゃない事は一切言われたくない、勝手な自分がほんま嫌になる。

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好きで付き合ってる彼女なら、全てを受け入れるってのが、『普通』なんやろ?

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俺は、ここからどうするんやろ…。

脚本があるわけでもない、自分の意思で、自分のこれからは決めれるはずやのに、 自分の意思がどこに向かうのかもわからんかった。

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電車に乗ることもなく、家まで結構な時間を歩いても、その答えは見つからないまま。

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疲労と、空虚感だけが、積もってく。

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北人 side

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壱馬に宣戦布告してすぐ。

行動に移すなら、すぐだよなって。 

翌日、彼女が出勤してきたタイミングで、声をかけた。

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「深月さん」

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「ん?」

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「ハムちゃん、そろそろいっぱいだと思いません?」

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「えっ?」

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彼女がおもむろにそれを手にすると、『重たっ』ってびっくりした表情を浮かべる。 

こっそり、10円玉を大量に入れたのは内緒。

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「3月6日なんですけど…」

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「ん?」

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「俺、誕生日で」

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「…そうなの?」

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「足りない分は自分で払うんで、俺とご飯…」

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「(笑)誕生日なのに、自分で払うの?」

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「もー、何でもいいから、俺とごはん行きましょ!」

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「何でもいいって(笑)」

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もう、小細工みたいなのは、無理な気がして、彼女をド直球に誘った。

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「…ごめんね」


「えっ…」

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「2人でご飯はちょっと…。やられてイヤな事はしたくないの、私」

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「…」

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「何人か誘って、北人くんの誕生日会っていうなら、全然参加するよ? 私、幹事やろっか?」

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「いいです!!」

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自分でもびっくりする位、大きな強い声が出た。


「すみません。やっぱ、今の聞かなかった事にして下さい」

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何か言いたそうな彼女を残して、席を立った。

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『2人じゃなきゃ、意味ないし…。

俺と壱馬、何がそんなに違うの?』

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答えの出ないその問いが、ずっと頭の中から離れていかない。

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…next

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