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tomorrow〜scene42〜
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「やったな、アイツ(笑)」
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『美しい明日』
最後のMCでのその言葉は、明日美へのもの。
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ステージ袖でそれを聞いて、『ずるいやん』って思いながらも、壱馬の思いが手に取るように感じられて、『やっぱり壱馬でよかった』ってそう思う。
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「ちょっと明日美と話しさせてもらってええ?」
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ライブが終わって、みんなが興奮冷めやらぬ中、壱馬に声をかけた。
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『はい』って答えしか返ってこないのはわかってたけど、一応断りはいれとくのが筋よな…って思って。
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「えっ…はい。全然」
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「ありがと」
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待ち合わせをしたカフェに向かうと、窓際の席でキョロキョロ外を眺めてる明日美。
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『田舎者です感満載やな、あいつ』
東京に住んで結構長いはずやのに、今はアメリカ在住やのに。
なんか、こういうとこ全然かわらん。
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俺に気づくと、ちょっと下を向いて照れくさそうに笑って、小さく手を振る。
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その仕草が『ずっと変わらんな…こういうとこ』ってギュッてなる。
10年以上昔やのに、昨日の事みたいに、高校生だった頃に記憶が戻ってくようで。
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「お待たせ。ここやと目立つけ…外…」
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「ん」
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彼女の隣を歩いて、大きな川が流れる遊歩道へとやってきた。
柵を背にしてふーって息をつくと、明日美も俺の隣に立って、同じ動作。
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久々の再会と、懐かしいこの感じに、 視線を合わせると自然に「「ふふっ」」って笑ってしまう。
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緊張するんか?とか思ってた。
変なわだかまりみたいなんが電話ではちょっとあったけど、顔見たらそんなん全然なくて。
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『昨日も逢うてました』みたいな空気感。
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「おかえり、明日美」
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「ん、ただいま」
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「ライブ、どうやった?」
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「ん…めっちゃオモロかった。彰吾、かっこよかった!」
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「ほんま、ちゃんと見てたか?壱馬の事ばっか…
「ちゃんと見てた!今日は、彰吾の事、 めっちゃ見とったけ!」」
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「っ…」
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いつもと違う雰囲気のその受け答えに、『えっ…』ってなって次の言葉が出てこん。
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「よかった…彰吾が戻れてほんまによかった」
ポロポロって涙が落ちると、それを拭うでもなく「嬉しい」って微笑む。
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たくさんの人に迷惑をかけた。お世話になった。
…でも一番心配をかけたのは、間違いなく明日美やと思う。
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『自分のせい』って、ずっとこいつに十字架を背負わせてた。
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「もう、大丈夫やから。やから、明日美も、もう自分を責めるような事は考えんで、ええんやで?」
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「…ん」
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「それだけ言いたかったんや。じゃあ、俺戻るわ。もうちょいここにおって?」
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「ん?」
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「彼氏、もう来るはずやけ」
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「っ…」
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「さっ、ライブ終わったし、ラーメン行こ。たかひろさん、今日どこかな…」
彼女に背中を向けて歩き出した瞬間。
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何でやろ…『あっ、これ…前も』って頭を過った記憶がある。
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高校の卒業式間近。
明日美に告白するって決めて呼び出したのに結局言えなかったその日。
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あんなに側に居たのに…。
あんなに好きだったのに…。
いつでも言えると思って、言わなかった。
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明日美が、好きやった。
めっちゃ好きやった。
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それから数日後彼女は俺の前から姿を消した。
気持ちを伝えなかった事…後悔でしかなかった。
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今、ここで言えたら、あの日の後悔はなくなるんやろうか…。
ずっと積み上げてきた思いは、終われるんやろうか。
答えなんて、聞くまでもないのに。
単に俺のわがまま。
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ただ…『終わり』が欲しかった。
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「明日美?」
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「ん?」
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「俺な…」
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「ん?」
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その時「あっ…」って、 彼女の視線が俺からズレると、ふわって、目を細めて口角を上げた。
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優しい顔やった…『かわいいな』って単純にそう思った。
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『壱馬が来た』
振り返らなくてもそれがわかる。
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「彰吾?何?どしたん?」
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「…んーん、何でもない」
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「何よそれ」
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「化粧直せよー、パンダみたいやぞ」
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「はっ?うそっ」
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「ふふっ(笑)さっ、ラーメンいこっ」
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もう、『終われるな』ってそう思った。
壱馬を見つけた時の彼女の笑顔…それが答え。
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彼女に背を向けて歩き始める。
明日美から見えなくなった場所で足を停めて、目を閉じた。
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『好きになって、よかったやん。…よし、終わりやな』
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積み上げてきた思いを、ぎゅっと抱きしめたら…あったかかった。
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...next
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やましょーさんの最終話でした。
自己満足でしかないですけど、初挑戦の彼を大切に丁寧に描いてきたつもりです。
やましょーさん推しの方が読んでも違和感ないように、彼のよさを存分にと。
『告白する』『告白しない』これ、ずっと悩んで来た2択で。ぎりぎりまで悩んでこっち側を。よかったかどうかは、自分でも判断不能ですが。
描いてて楽しかったな、やましょ一さん。
himawanco
