tomorrow〜scene41〜
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『会場の中、誰ひとり置いていかん。全員楽しませる』
それは俺ら16人共通の思い。
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やるべき事は全部やって迎えた、復帰公演。
生きて来て、こんな緊張するライブは今までなかった…、それ位の破壊力。
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復帰公演、そして明日美がそこにはおる。
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50000分の1。
探せる訳ない。 もちろんそうで。
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関係者席って呼ばれる場所におるって教えてもらっても、見つけられんかもしれん。
もし、これ見つけられたら、俺は、神様やとさえ思う。
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でもここに絶対におるから。
50000分の1は、必ず明日美やから。
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開演直前。
鏡の前に立つ壱馬の隣に立った。
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「壱馬…明日美の居る場所さ、俺わからんのんよ…」
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「えっ?何でですか?聞いてないんですか?席どの辺とか」
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「明日美やで?聞いて教えてくれると思うか?
…なんなら天井席かもしらん(笑)」
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「…俺にも教えてくれんかったです。明日美さん。一応聞いたんですけどね『教えん!』て。
…想定内ではあったんですけど。
やましょーさんには教えてるんかと思ってたんですけど…」
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もう、頑固っていうか、これって思ったら、絶対譲らんやつやな、ほんまに。
壱馬、大変やで、こっから…って、心底思う。
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まぁ、でも『ここにいるから』って言われたら、全く気にならんとかはやっぱり無理やって思うから。
それを考えたら、明日美は正解かもしれん。
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「まぁ、俺、明日美がいっちゃん後ろにおっても、『おもろいな、彰吾』って言わせてみせる自信あるけん。…壱馬は?」
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「始まって、1分。…いや、俺の最初の声で、泣かせてみせます(笑)」
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「うざっ、お前」
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「最高の褒め言葉です、それ(笑)」
そう笑うと、拳を俺へと向けた壱馬。
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それに答えるように、その拳に俺もぎゅっと握った拳を合わせた。
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「壱馬…」
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「はい?」
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「これ、終わったら…」
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「迎えに行きます、明日美さんを」
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「…そっか」
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「はい。覚悟を持って…行きます」
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マイクを握る壱馬の手に力が籠るのが、はっきり見えた。
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『覚悟を持って』
あいつの考える覚悟は、きっと、2人のこれからの人生が決まるそんな瞬間。
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壱馬 side
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『50000分の1は無理やわ、さすがに』
どこに居るかは結局わからないまま、ライブは進んでく。
でも、この5万人の中に彼女は居る。
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初めて明日美さんがライブに来た時、『届け』って願って俺は唄った。
あの日と変わらない思いで、今、俺はここに立ってる。
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色んな事があった…。
それでもあの時と少しも変わらない気持ちで、『彼女を愛してる』
そう迷わず言えるから。
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残るは数曲。
MCはここが最後。
どうしても、伝えたい事があった。
彼女に…ここにいる俺らの事を応援してくれる人全てに。
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小さく息を吐いて、マイクを持ち上げる。
ドームの一番遠くに座る人にも届くように、視線を斜め上に向けた。
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『届け…』
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「生きてたら、色んな事があると思います。
もう、投げ出したい、逃げ出したいってなる事やって。
そんな時は、俺達が…THERAMPAGEがいます。
辛い時、しんどい時に、僕らとの時間を、今のこの時間を思い出してくれたら…って思います。 僕らは、いつも側にいます。約束します。
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ここにいる皆さんの、明日が美しくありますように…」
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明日美 side
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アメリカから帰国して、その足で向かった東京ドーム。
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『23ゲート…』
自分で初めて取った座席に座ると、隣の席には女の子2人。 鞄にぶらさがるピンク色のパスケース。
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『彰吾のファンの子やな…』
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「どうしよ…もう泣く…吐きそう。やましょーさん、帰ってくるんだよね?」
「ん、今日来れてよかったよね、ほんと」
そんな2人の会話に私が泣きそうだった。
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『こんなに待ってくれてる人がいる』
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暗転した会場に明かりが灯った瞬間。
一列に並んだメンバーの姿に、自然と溢れた涙。
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そこに彰吾がいる事。
彰吾を気遣うようにみんなが寄ってきてくれてる。
壱馬くんが彰吾に握手を求めて、2人が抱き合った瞬間…涙が止まらなかった。
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『明日が美しくありますように』
そう言った壱馬くんがまっすぐ前を向いて、大きく頭を下げてステージを降りてくその後ろ姿を、涙でスクリーンが霞む中、拍手で見送った。
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