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tomorrow〜scene32〜

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壱馬を見送った後、みんな帰った後のリハ室に戻ってきた。

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誰もいなくて静けさが広がる空間。

俺はまたここで、みんなと一緒に踊れるようになるんやろうか…って、鏡に映った自分を見ながら思う。

正直、不安の方がかなり大きい。 

それに飲み込まれないように「ふっ」って小さく息を吐いた。

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『がんばるって、決めたやん…。約束したやん。やるしかないやろ…』

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「やっと帰ってきたやん」

右側にあるドアが開くと、毎日長文で、俺にLINEを送ってきてた人が、髪をわしゃわしゃしながら入って来た。

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「陣さん…」

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俺の隣に並ぶようにどかっと座ると、視線の先にある鏡越しに目が合う。

その時の真剣な陣さんの視線に、なんかわからんけどふふってこみ上げる笑い。 

今、そうじゃないって思うのに、抑えられんかった。

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「笑うなし。俺、今からエエこと言おうとしとんのんに」

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「すいません」

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座りなおした陣さんが、ゴホンって咳払いすると、ふって小さく息を吐いて、もう一回鏡の中の俺と目を合わせた。

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「待ってたで」

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「…はい」


「ライブを…16人でやれる日が来るって、信じて待っててええんよな?

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『THERAMPAGEは16人です』

…でいいんよな?」

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「…はい。何がなんでも、そこまで行きます。やります。決めたんで」

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「よかったぁ」

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ふぅって大きく息を吐くと、俺の方へと向き直って、「やましょーおらんと無理やて…ほんま」て俺の右肩をポンって押す。

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「俺が出来る事あったらいつでも言うてや。ほら、俺リーダーやから」

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「そん時はリキヤさんに相談します」

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「なんでやねん」

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「(笑)嘘ですやん。…陣さん、ありがとう。毎日、連絡…ありがとうございました」

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 「ん? そんなんしてたか?俺…。

してたかなぁ…。気のせいちゃうか?」

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『ありがとうございます』ってしっかりお礼を言って頭を下げると、恥ずかしいのか、すっと立ち上がったドアの方へと歩き出す。

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「また明日な、お疲れ」

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後ろ手にひらひら手を振ると、静かに出て行く背中。 何も言わず、その背中にもう一度頭を下げた。

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壱馬 side

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「ただいま…」

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返事が返ってくるわけじゃないのに、そう言えば彼女の『おかえり』って声が聞ける気がした…。

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一緒に過ごした時間なんて、ほんと数えられる位。

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仕事終わりにご飯食べて、家まで送って…たまの休みをうちで過ごす。

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都内から出た事もない。

昼間手繋いで出歩いた事もない。

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『恋人同士』って聞いて思い浮かべるような事、何一つできんかった。

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『そんなん全然気にせんよ、私。1人でも全然遊べる子やけん』

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そんな彼女に甘えてた。

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ポケットから取り出した、彼女からの手紙。 『伝えたい気持ちはいっぱいある』 『大好きやってほんまは言いたい』彼女のその思いが、心が切り裂かれるように、痛かった。

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『俺やって…』

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こんなに大好きやのに、大切やのに。 

 『大好き』も『愛してる』も、言葉にして伝えた回数なんて…。

後悔ばっかりやった。

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俺も、ちゃんと伝えたい。

『大好きや』って…。

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それを直接伝えられるように…。

彼女に誇れる自分であるように…。

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『やるしかないよな』

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…next

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