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美しくなくてもいい。
あなたと迎える明日がずっと続いていくのなら…。
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tomorrow〜scene1〜
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「私、大盛っ」
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「俺、特盛ぃ」
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「「ふふ(笑)」」
深夜に並んで食べる牛丼。
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これを『デート』だとカテゴライズできるかどうかは、問題やない。
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『2人で過ごす』
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それに重きを置いてるっていう2人の共通の概念があればそれはデート以外の何ものでもない。
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「どっか行きたいとかそういうんないん? 明日美さん」
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「んーあんまナイかな」
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俺より大きい口を開けて牛丼を頬張ると、「仕事忙しいし…」って。
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お父さんが亡くなってからも、お昼の仕事と、相変わらずの深夜の掃除のバイトのかけもち。
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「もういいんやない?」って聞いたら「ん…お金貯めようと思って。 ダメなの、私。何か追い込まれてる位がちょうどよくて。
いきなり、暇になっても時間持て余すし。仕事終わりのこれがなくなるの寂しいし」
って、くちパンパンにご飯を入れて、 もごもごしてる。
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「何か『これ』ってものが見つかったらさ、それに全力投球できるように、今は準備中なんよ、私。
いつかは…洋服を作る側にもなりたいかな…とか思ったりもしとるん」
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「そっか。えーな。自分のブランドとか。ん、えーやん、それ!まぁあんま無理せん程度で…」
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「ん、大丈夫。体には自信ある」
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「やな…、よぉ食べるもんな」
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「ようけ食べる彼女、嫌やった?ミニサイズの牛丼で『もーおなかいっぱい』っていう子が好きやった?」
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「(笑)いや、大盛食べる子で問題ないっす」
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「やろ(笑)」
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「(笑)」
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『その身体でよぉそんだけ食べれるな』…って、俺もまぁまぁ言われるけど、明日美さんも俺と同じ種類やと思われる。
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「「ごちそう様でした」」
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2人で手を合わせてから立ち上がると、カウンターの中に居たいつもの店員さんと目が合った俺。
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「ありがとうございます」 声は聞こえないけど、小さく動く口はそう言ってるのがわかる。
相変わらずな感じの彼に小さく頭を下げて店を出た。
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「あーおなかいっぱい。もういつでも寝れる、私」
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「そりゃそうやろ。あんだけ食べたら腹パンやろ」
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「おなかいっぱいで寝るのって幸せやんね?」
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「何か動物的発想やな、それ。」
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「ダメなん?私帰ってお風呂入ったらすぐ寝るよ?」
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「胃が痛いとかならんの?それ」
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「ならん。まだ若いって事やな、私も」
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「一気にガタが来るやつな、絶対」
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「はっ?!」
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繋いでた手を思いっきり振りほどくと、点滅中の横断歩道をダッシュで渡り切った彼女。
「ここでいいよ。じゃあね、おやすみ」って、向こう側で手を振ってる。
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「ん、気ぃつけてな」
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「そこやし、家。大丈夫やって」
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「転ぶ心配や(笑)」
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「あほ。はよ帰りい。送ってくれてありがとね」
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そう言いいながらクルっと背を向けると、その背中が隠れる位の大きいリュックが揺れながら離れてく。
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『家の前まで送られると、何か、バイバイのタイミングわからんのんよ』
いつだったかそんな話しをしてから、大体こうやって近くで彼女に『まかれる』俺。
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『ほんまはずっと一緒におれたらな…』 って。
それは今伝えたら彼女の負担になるような気がしてる。
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付き合い始めました=結婚って、ちょっと重いやろなって。
今まで散々色んなとこで『それは重たい』って言われてきたから、一応自粛中。
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でも、ほんまは時間が許す限り一緒におりたい。
まだまだ知らない事の方が多いから。
焦って埋める必要ない事位、わかるのに、頭と気持ちは別で。
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『好きになればなるほど余裕はなくなる』
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俺はまさにこの典型やと思う。
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…next
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『壱馬おかえり』と言える日が来て、ほんま良かった。
私も随分お休みさせてもらいました。
待っててくれた方がいてくれたとしたら、感謝でしかないです。
後半、気長にお付き合いください。
himawanco
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