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Pray~scene21~
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北人 side
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『春には転校』
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もう、ハンマーで頭を思いっきり殴られたような感覚。
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ずっと一緒だって…。
卒業までずっと3人でいられるんだって、それを疑った事なんて一回もなかった。
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高校に入学して…壱馬が尚ちゃんの事を好きなのは結構早い段階でわかってた。
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幼稚園の時からの付き合いの親友。
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目で追ってる人がいるのに気づくのなんて、きっと本人が『好き』 を自覚するよりも先だったと思う。
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俺だけクラスも違ったし、彼女はキャッキャしてるタイプの子でもない。

友達も少なそうだったし、なかなかハードル高めの女の子、そんな印象だった尚ちゃん。
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でも2年になって同じクラスになったのをきっかけに「よし、話かけてみるか」って。
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いざ、話をしてみたら…。
まぁ、壱馬が惚れるのもわかるっていうか。
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話をする時に、真っ直ぐに目を見て話を聞いてくれて。
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笑った顔がふんわり優しくて。
何気にちょっと毒舌で。
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しっかり自分がある子だった。
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彼女にしたいとは、俺は思わなかったけど(笑)
でも、この子とはずっと友達でいたいなってそう思える女の子。
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そんな子、今まで出逢った事なくて…。
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尚ちゃんって俺にとってそんな子。
大切な友達。
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…そして、親友の壱馬が何よりも大切に思ってる存在。
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『北人 俺どうしたらええ?』
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そんな風にぼろぼろ泣いて、俺に掴みかかってくる壱馬なんて見た事なくて。
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…何も言ってあげられなかった。 
「ごめん」 そう言った俺の頬を流れてく涙。
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何で、こんな事になってるの?
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2人はほんとにお互いの事が大好きで 。
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それは一番近くで2人を見てる俺が誰よりもよく知ってる。
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尚ちゃんの事を話しする時の壱馬は、ほんと嬉しそうで。
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ちょっとそれをからかうと、本気で怒って。 
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そういうとこが尚更、尚ちゃんへの思いの大きさなんだろうなって。
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授業が終わって、2人が並んで図書館へ向かう後ろ姿がほんとお似合いなんだ。
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少し歩いては、ふふって俯き気味に笑う尚ちゃんに、 壱馬が何か言ってて。 
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「もぉ」って、ちょっと小走りになった尚ちゃんの後ろを壱馬が両手をポケットに入れたままタンタンっておいかけて。
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尚ちゃんに追い付くと、そっと手を繋いだ2人。

ほんと、『幸せ』ってその言葉が持つ意味を表す景色だった。
 これがずっと続けばいいって本気でそう思ってた。
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春になったら、2人は離れ離れ…。
3人で過ごす時間も、もう後3カ月。
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ウソだろ... そんなのどう考えたって、 納得できるわけなんてない。
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もちろん、壱馬も心配だけど。
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…尚ちゃん。
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尚ちゃんがどんな思いでいるか。
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一人で、孤独の中にいる彼女の事が心配だった…。
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尚ちゃんは、俺にとってかけがえのない…そんな存在だから。
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 俺にできる事って何?
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考えなきゃ…何かいい方法を。
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…next

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北ちゃんsideを急遽1話描いて、差し込んでみました。
彼から見る、壱馬と尚ちゃんを文字にしたくなってしもて(笑)
お話に進展はなくてすみません。 himawanco