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Reverse~scene4~
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「ねー、壱馬くん! ネモフィラだって!! きれー!」
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あれ以来、特別変わった事もなく、新しいプロジェクトも順調で。
やっぱ疲れてたんかな…位で勝手に消化して。
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紗良さんに何かあったなんて、俺は知らんまま、彼女が向けてくれる笑顔をそのまま受けとってた。
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「次の週末、行ってみる?そこ」
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「いーの? 行こう、行こっ!」
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日曜日の夕方、いつものみたいに俺の部屋で過ごす時間。
ご飯を食べて終わって、今日はじゃんけんで負けた俺が後片付け。
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テレビの前に座ってた紗良さんが、スマホを持ってテンション高くキッチンに入ってきた。
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「ここの公園の近くにね、おいしいソフトクリームやさんあるんだって! イチゴ!!あ
一、桃もある!!」
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「ふふ(笑)」
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「何?」
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「どうせ両方食べるんやろ?」
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「んー、壱馬くんの半分ちょうだい!」
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「イヤやぁ、俺、普通のバニラがええもん」
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「何でよぉ。イチゴと桃、半分しょーよ」
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『ねっ?これだよ?見て?』 って両手が泡だらけの俺の目の前に出されたスマホ。
どんだけよ、ほんま。
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「じゃあ、半分ずつな。 わけわけやで?」
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「やった!」
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「わっ!」
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ギュって後ろから抱きつかれた衝撃で、皿を落とすとこやったわ。
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「ごめん!えっ?大丈夫?」
覗き込むその顔にそっとキスを。
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離れかけた唇、 紗良さんの両手が俺の頬を包んで。
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チュッチュッとリップ音が頭に響く。
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「食器洗うん、 後からでええ?」
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「……ん」
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鼻先が触れる距離でそう言葉を交わすと、タオルで包まれた両手。
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泡が落ちて、自由に動く手でぎゅっと抱きしめた。
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「紗良さん?」
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「ん?」
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「好きや」
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「ふふっ、知ってる(笑)」
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「ほんま?知っとる?(笑)」
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手を引いて向かったベットルーム。
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天気がよかったその日、ふわっと背中を下ろすと、お日様の匂いと背中に伝わる温かさ。
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「お布団、ふかふか、あったかい」
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「なー、ふかふかやな」
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2人で『ころころー、ころころー』って左右に転がって…。
お日様の香りがする布団を満喫。
ほんま、あったかい時間。
紗良さんの笑顔が、すぐそこにあって。
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目が合うと 「ふふっ」って笑って、自然に唇を重ねた。
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…next
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