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「はっ?お前なんでおるん?」
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「あっ、壱馬。お疲れ様」
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3月6日。
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メンバーみんなで集まっての北人の誕生日会。
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前の仕事が押してしもて、一人遅れてそこへ到着したら、北人の隣に何故か俺の彼女。
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「俺が『おいで』って言ったの」
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「は?」
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「いいでしょ?俺の誕生日会なんだから」って、あざとく笑う今日の主役。
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その隣、「だよね、ほくちゃん」って、俺の事なんて、チラっと見た程度で。
「お誕生日おめでとう」
そう言って、でっかい箱を開けた。
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箱の中は、お菓子作りが趣味の、彼女のお手製のチーズケーキ。
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「うわぁ、すごっ!」「やばっ!うまそ」
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その出来栄えに、彼女の周りに集まるメンバー。
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マジ、何なん…これ。
そいつ、俺の彼女やけど。
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「壱馬さん?顔、すっごいですよ?やばっ、こわっ(笑)」
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『はい、どうぞ』って、 グラスを持ってメインテーブルから離れた場所に座る俺の元に半笑いでやってきた慎。
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「人気者ですよね、ほんと」
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やから、イヤなんやって。
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飲み会とか、人の集まる場に彼女を連れてくと、いつもこれ。
真ん中でニコニコしとるんを見ると、ええ気はせんくて。
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そう思う自分がむっちゃ小さい男やって、思い知らされるっていうか。
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「いつもニコニコしてて、気も遣えて。
壱馬さん、ほんと見る目あるなって、みんな言ってますよ?」
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褒められて嬉しいはずやのに、おもんない。
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『わざわざ、ありがとね。またご飯でも行こうね』 北人にそう言われて、まんざらでもなさそうに笑ってる。
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日付をまたぐ時間、お開きになった誕生日会。
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「ケーキ、喜んでくれてよかったぁ」
って少し酒も入ってるからか、ふわふわ歩く彼女の後ろを、モヤモヤした気持ちでついてく。
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「なぁっ!」
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「ん?」
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振り返った彼女は、いつもと何もかわらん。
何かそれが余計に…。
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「誰にでもニコニコして、ほいほいついて行くなや」
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「何?やきもち?(笑)」
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その茶化された感じに、もう一瞬で限界を越えた。
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ぐっと掴んだ腕。
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「えー加減にせぇよ、真面目に聞けや!」
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もう、周りとかそんなん気にできんくて、デカい声で。
そう言った俺の目を真っ直ぐ見つめる強い瞳。
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「壱馬?怒るよ?そんな言い方。
誰にでもほいほいついてくように見えるの?私のこと、そんな風に思うの?」
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ふわふわしてたさっきまでとは違うその雰囲気に、我に返った。
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…ださっ、俺。
彼女がそうじゃない事なんて、俺が一番わかってるはずやのに。
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「…ごめん」
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「… 今の言い方はイヤ。
でも、誤解されるような事したんなら、謝る。ごめんね?ごめんなさい」
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すぐにそう謝れる。こういうとこが彼女の尊敬できるとこ。
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ゆっくり瞬きをすると、 見上げる瞳。
大きな黒目に俺がくっきり映る。
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「私も、大切にしたいって、そう思うから」
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「ん?」
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「だって、 壱馬が大切に思う人達でしょ?
壱馬の事を、大切に思ってくれる人達だよね?みんな… 」
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「えっ…」
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「だから、私も大切にしたいって。
壱馬にとって大切な人達に、にこにこするのは、 違う?
壱馬、嫌?嫌なら、もう行かない。
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…私は、壱馬が嫌だって思う事はしたくない」
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そう言われて、はっとした。
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彼女はそういう子やったなって。
俺の事を一番に考えてくれる子やなって。
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やから俺は好きになったんや。
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誰よりも俺の事を思ってくれてるって、わかってたはずやのに。
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「ごめん。俺のヤキモチや」
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「ふふっ(笑)。ちゃんと謝ってくれたから許す!帰ってケーキ食べよ?食べてなかったでしょ?さっき…」
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「えっ?」
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「見てないとでも思った?
ずっと見てたよ?怖い顔して隅っこにいるの(笑)
デコレーション失敗したら嫌だから、2個焼いたの。だから、帰って一緒に食べよ、ね?」
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そう笑って、先に歩き出した彼女の後ろをおっかけた。
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『…ちゃんと気にしてくれてる』
ほんま、俺、ださっ。勝手にヤキモチ焼いて、しょーもない事言うて。
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俺が大切に思う仲間を、同じように大事やと言うてくれる。
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お前を選んだ俺は、やっぱ見る目あるなって…、自惚れる位やわ。
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…fin
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ほくちゃん、がんちゃんお誕生日おめでとう。ほくちゃんのお誕生日にかこつけて、愛が重めな壱馬さんを(笑)
壱馬にヤキモチ妬かれたい🤭
いつもとは時間が違うpostですが、これは今日中にいかないかん!ってことで。
himawanco
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#川村壱馬妄想
#therampage妄想