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Birthday story～lastscene～
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「ほら、壱馬！はよ帰りぃ。 はいっ、かばん!」 翔吾に背中を押されて現場を出て。
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「お疲れ様でした」
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送迎の車を降りたのは、17時過ぎ。
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冬じゃなかったら、また外で六花と響と遊べたのになって思いながら。
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「ただいまー」
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ドアを開けるとバタバタって、2人が嬉しそうに走ってきた。ほんま幸せやって思う瞬間。
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「ととっ、ちっちゃくなって」
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「ん?」
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「こーやって!」って俺の前しゃがむ響。
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靴を脱いで響の前に「こーか?」ってしゃがむと、頭の上に乗せられた画用紙でできた冠。
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廊下にある鏡に映る俺の姿を確認すると
「とと、かっこいー」 って六花と響が拍手してくれて。
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やばっ、俺すでに泣きそう。
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「ほら、とと。ててあらって。 かかがね、すごいのっ。ごはんいっぱいなの。ねっ?ねぇね?」
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「ん、かかすごいんだよ！お店みたい！」
って2人に背中を押されて。
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手を洗ってリビングのドアを開けると、 「とと、おたんじょうびおめでとう」
ってマジックで書かれた画用紙が目に飛び込んできた。
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六花が得意な折り紙で壁一面が飾られてて。
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その横に2人がクレヨンで書いた俺の似顔絵が貼られてた。
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あかんて、こんなん...。
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「とと?どしたの?」
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覗き込む2人を両手で抱き上げて。
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「ありがとな。 ととな、むっちゃ嬉しい。 こんなん嬉しいに決まっとるやん」
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もう我慢なんてできるはずもなくて…。
2人を抱っこしてるから、 両手がふさがってて、もう涙はまっすぐにどんどん落ちてく。
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「とと、なかないの。 ととはおとこのこでしょ?」 って響に頭を撫でられて。
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いつも六花が響に言うてるセリフやった。
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六花の向こうに見えたなっちゃんも、ほら、泣いてる…。
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「ほら、ごはん食べよ。ね? 冷めちゃうからっ」
テーブルの上に並べられた料理。 俺の好きなもんばっかり。
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「なっちゃん、本気でがんばりました」 っ涙を拭って笑いながらそう言う、うちの奥さん。
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もう、やから何？何でそんなみんなで俺を泣かそうとするん？
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「とと?ひびきね、けーきのいちごのせたよ?」
「りっかはねっ、チョコペンで『とと、おめでとう』 ってかいたの」
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テーブルの真ん中に置かれたバースデーケーキ。
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いちごがいっぱい乗ってて、真ん中に六花が書いてくれたプレートが乗ってた。
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「2人とも上手やなぁ。一緒に食べよな。
とと、楽しみやなぁ」
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「「うん」」
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みんな椅子に座ったタイミングで、パチって消された電気。
なっちゃんがろうそくに灯りをともしてくれた。
「せーの」
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「はっぴばーすでーとぅーゆー♪… はっぴばーすでーとと一 はっぴばーすでーとぅーゆー♪」
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歌い終わると、俺の顔をじーっと見てる2人。
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「みんなでフーしよか?」
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「「うん!」」
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「せーのっ」
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ふーって吹き消すと、 小さい手でパチパチって拍手をしてくれて。
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「おたんじょうびおめでと、とと」
「おめでとっ、ととっ!」
「おめでと、壱馬」
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今まで迎えたいつの誕生日よりも、間違いなく今日が一番笑って、一番泣いた誕生日やった。
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「寝た？」
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「ん、ずっと飾りつけ作る時の話をしてたわ、2人とも。めっちゃがんばった!ってずっと言うてた(笑)」
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「ふふっ(笑)」
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ソファに座るなっちゃんの隣にゆっくり座ると、「ねぇ？」 って俺の顔を見て口を開いた。
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「ん?」
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「2人とも優しい子に育ってるなぁって。 私、すごい幸せだなあって、今日すごく思った」
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「ん、俺も。こんな泣いたんいつぷりやろうか(笑)」
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「私も」
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「なっちゃんは、いつも泣くやん」
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「もぉ」
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ちょっと膨れたその顔。こっちもかわいいでしかない。
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「壱馬？ぎゅーってしてもいい？」
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「えっ？あっ…ん」
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なっちゃんの細い腕が俺の体に回されて、ふーって大きく息を吸った音が響く。
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「お誕生日おめでとう。 壱馬…大好き。私も一生変わらない…絶対」
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ゆっくり離された体。
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ふふって笑うと、チュッて軽く重ねられた唇。
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「あかんて、そんなんほんま、なっちゃん。 勘弁してって」
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ひょいって抱き上げて膝の上に乗せた。
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「えっ？何？」
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「膝の上がええんやろ？今日は、貸し切りにしたる」
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頬を両手で包んで、そっと引き寄せてゆっくりキスをした。
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大切な家族に祝ってもらえる誕生日。
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これより幸せな事なんてないって…そう思う。
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... fin
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HappyBirthday 壱馬
どんなストーリーにしようかと悩んでここに(笑)
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私は壱馬が壱馬らしく、唄いたいように唄ってくれたらもうそれでいいや。そんな壱馬に今年も逢えるように願って。
素敵な一年になりますように。
大好きや。
himawanco
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