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「あっ!あった!」
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繋いでた俺の右手を離して、テンション高めに走ってく彼女。
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「あいつ、どんだけ好きやねん」
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俺の右手には、初詣を済ませてから参道で買ったたくさんの戦利品。
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トウモロコシに、たこやきに、りんご飴。
正月から、腹いわすでほんま。
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こんだけ買ったのに、どうしても一番お目当てのものが見つからなくて、やっと見つけたらしく走ってった。
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「大きい袋の下さい♪」
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「出来たてだからね、気をつけてね」
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そう言われておばちゃんに渡してもらったのは、コンパクトな枕位のサイズのベビーカステラ。
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「でかっ、そんな食べるん?」
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「去年小さいのにして、足りなかったの覚えてない?」
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「全く記憶にないわ」
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「最後の1個壱馬に食べられたの!」
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「食べてへんわ」
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「食べたの!何で覚えてないのよ」ってぶつぶつ言いながら大切そうに袋を抱えてる。
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ベビーカステラの恨み怖っ。
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「あー、やっぱ1個味見!」
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甘い香り+出来立てに我慢の限界らしく、紙袋の蓋をちょっと開けて2個取り出すと、「はい、壱馬も」って俺の口にも放りこんだ。
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「うまっ」
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「できたて、おいしー」
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もうこの上ない位の笑顔の彼女見たら、俺も自然に笑顔になれる。
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こいつがずっと側にいてくれたら、俺幸せやろなって。
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「なぁ、初詣何お願いしたん?めっちゃ長いこと手合わしてたやん?」
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「あっ、えっと。来月の会社の試験合格しますようにと、3キロ痩せますようにと、ディズニーランドにも行きたいですと…後、美味しいお寿司を食べたい…」
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「もう、神様大混乱やで、そんだけお願いされたら(笑)」
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「神様だもん、大丈夫だよ」
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なぁ、神様?あなた無敵やと思われてますが、大丈夫ですか?って心配してまうわ。
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「壱馬は?」
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「言わへん。言うたら叶わんて昔からいうやんか」
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「へっ?そうなの?嘘だぁ。どーしよ」
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あからさまにテンション下がる(笑)
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「へこむなや。ディズニーと寿司は俺、連れてくし。ダイエットは一緒に頑張ったるから」
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「試験は?」
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「あー…勉強はわからんから、合格御守り買ってくる!あと、夜勉強する時には、コーヒーいれるし!」
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どうにか取り繕おうとする俺を見て
「ふふっ(笑)、ありがと」そう笑った。
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「ね?早く帰って、それ食べよ!冷えちゃう」
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「なぁ?ダイエットは?」
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「お正月終わったら、本格始動で」
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「(笑)」
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大事そうに抱えてるベビーカステラを彼女の腕から引き上げて手を繋ぎ直した。
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『彼女の3月の誕生日、プロポーズします。成功しますように』
…そう手を合わしたのは内緒。

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…fin



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明けましておめでとうございます。

年末、職場でコロナになる人、濃厚接触で休みになる人多発。
えぐいて…って位働いた(笑)
オーラスも、expoも何も見れないまま。
とりあえずの山場は越えたので、何かハッピーなお話書きたくて。自己満極まりない💦

こんな私ですが、今年もよろしくお願いします。                  himawanco
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