オリジ小説書き溜め場。 -2ページ目

オリジ小説書き溜め場。

オリジナル小説男×男を書いています。

 所詮、すきかわからない、幼稚な俺じゃ、認めてもらえないのだ。

 ここでこうしている間に、誠は何を考えているのだろう。

 まさか、もう、やめようなんて思ってないだろうな。

 まさか、俺から離れようなんて思ってないだろうな。

 まさか、あの男のところに行ってしまう気なんじゃないだろうな。

 それだけは、それだけは許せない。

 智久は突然、むくっと起き上がって、ベッドから降りた。

 そして、智久は突発的に座っていた誠をなぎ倒して、上に乗っかる。

「うわっ」と誠は悲鳴を上げたが、馬乗りになって見下ろしている智久の顔を見て、「な、なんです…?」

と聞いた。

「サイテーだよな」

と、智久は言う。視線をそらして、

「本当は、付き合ってからしたかった」

と、そう言って、そのまま誠に覆い被さった。

 突然のことに、誠は目を見開いたまま、智久の唇を受け取った。それは、唇どうしが触れるだけの拙いキスで。

 顔を起こす智久。それを凝視している誠。

 顔が赤い智久と、間近で視線がぶつかった。

 誠は智久の肩に首に腕を回した。そして、もう一度、智久の顔が下りてきて、ふと目を閉じた誠。

 深い、深くて長いキスをした。舌を絡め、歯列をなぞり、貪るような。

 それからしばらく、二人は身体を抱き合わせたままだった。

 全身に熱を帯びている。熱い。けれど、何もしちゃいない。

 このまま、俺たちは離れるのか。

 突発的に動いて、誠の願いを叶えたものの、本当に誠は俺を試していたのか、解らなくなってしまった。と、智久は、誠の温もりを感じながら思うのだ。

 俺たちは付き合ってはいない。その事実は変わらない。

 だから、もう一度声をかけてみたのだ。

「誠」

「はい」

「俺たち、付き合おう」

 答えはイエスかノーか。

 結局話し合いにはなってないが、想いをすべて伝えたというわけでもないが、言いたいことはこれに限った。

「俺は、智久さんのこと愛してますよ」

「…うん」

「キスしてください」

と、唐突に言う誠。

 その言葉に仰天したのは言うまでもない。

「き、きききききす?!」

 話し合いをするはずだった。

 義明が帰り、コンビニに行って帰ってきても、二人、話を始めるきっかけがつかめず、とりあえず、シャワーを、と、二人各々が浴びて出てきた。

 部屋。

 誠はベッドを背にして座っていた。体育座りしていた。

 智久はベッドの上にいた。壁を背にして足を投げ出し座っていた。

「お、おま、お前、それで俺を試そうってのか?!」

 智久は思わずそう叫んだ。

 明らかに狼狽していた。

 その姿を振り向いて見ていた誠は、やっぱり、と溜め息をついた。

 付き合う覚悟があると言った、智久を試したことになる。誠は後悔した。

 ベッドの上でわたわたしている智久だったが、しばらく経つと冷静になって、ああ、これは誠が試したことことで正しいんだな、と理解した。

 俺は付き合う覚悟があると言った。その付き合う覚悟って何だろう?

 たぶん、付き合う覚悟ってやつを問われたんだろう、そう思った。

 沈黙が二人の間を阻む。

 考える時間が惜しかった。

「俺は、お前の出す課題に合格したくて、お前に付き合ってくれって言ったんじゃねぇよ」

と智久は言った。

「お前に俺のこと認めて欲しいから言ったんだ」

 誠はそのままの姿勢でその言葉を聞いている。

 考えずにはいられない。

 本当は、冷静に考える時間が俺には必要だった。と思う智久。

 たぶん、今、何を言っても、伝わらないと思うのだ。付き合うことの意味も、これからのことももっと考えたかった。

 煮え切らないまま、話し合いになることを恐れ、とりあえず、時間を稼いでいたのだった。そんな俺の気持ちを察したのか、誠は突然、変化球を打ってきた。

 黙ったままの誠に何を言っても伝わらない。

 ここからだと、誠の後頭部と肩口しか見えない。

 これで、智久には外の会話が聞こえない。

 手持ち無沙汰になった智久は、使ったテーブルを拭き、その後は、二人の後ろ姿を眺めていた。あ、本当に煙草を吸っている。そんな誠を見たのは初めてだ。

 しばらくして、部屋に二人が笑いながら戻ってくる。

「ありがとな、智久。一服できたわ」

と、義明が言う。

「何話したんだ?」

「ま、ちょっとな」

「ちょっとって」

「気にすんな。大したことじゃねぇよ」

 義明はけんもほろろ。

 智久は、妙にさっぱりした表情の誠の方が気になった。が、

「誠、今夜も泊まるんだろ?」と言う義明の質問に、

「あ、はい。智久さんがよければ泊まろうかな、と思ってます」

と言う誠。

「いいですよね?」

と、誠に聞かれると、

「おう。構わんよ」

と、躊躇なく答えた。

「コンビニで下着買ってくる?今のままだと不快じゃね?」

「あ、そうですね。そしたらワックスも買ってきたいです」

と言って、智久と一緒にコンビニに行くことになった。一緒に義明も来ると思ったが、

「じゃあ、俺はこれで」

と、簡易コンロを持って義明自身の部屋に戻ってしまった。

「なんだよ。あいつも泊まっていいのにな」

と、智久は笑いながら言うが、誠は「えっ」とむしろ、不思議そうに智久を見ている。

「義明さんがいたら、話し合えませんよ」

「あ、そうか。それもそうだな」

 気を使ってくれたんだな、と義明に感謝するや否や、「えっ」と驚いたのは、智久だ。

「話し合い、すんの?」

「智久さんが言ったんですよ」

 そうだけど、と智久は戸惑う。

 そうだけど、今夜話し合うのか。どうしよう。自分で言いながら、整理のつかない頭をもたげて、困っている。こっけいだ。そう思った。