●正しく寒い、という表現が好きだ。しんと冷えて、音もなくて、空は澄んでいて、ふぅっと吐き出した息は白く、解けていく。寒いのは大嫌いだけれど「正しく寒い」日はどこかスッキリする。憧れにも似た、気持ち。声にならない、思い。そういった曖昧さが白い息となって空に解けていく。過去は綺麗だ。降り積もった雪のように。触れた途端に解けてしまうし少しでも足を踏み入れれば、白銀は灰色に近づく。それでも、冬が好きだ。矛盾しているようだけれど。