二重全切開〜眠そうな目、ハッキリしない二重〜
重瞼ラインを作成する方法には、埋没法と切開法があります。
埋没法は内出血や腫れなどのダウンタイムが短く、
ラインの完成は1〜2ヶ月と比較的手術のハードルの低い手術といえます。
一方で切開法は、内出血や腫れを考えるとダウンタイムは長く、
ラインの完成は約6ヶ月となりハードルが高くなります。
基本的にまずは埋没法をすすめますが、
以下の場合は、切開をすすめます。
①過去に埋没法を行ったがラインが安定しない、糸がゆるむ、外れるなど
②少し眠たい印象(下垂気味・軽度下垂)のまぶたなど
今回の症例は上記の②に該当するかと思います。
症例は平行でラインは浅く、目尻側が2本線になっています。
また眠そうな目で、黒目の見え方に左右差があります。
瞼の皮膚は比較的薄く、やわらかい状態でした。
目標はアーチを綺麗に!睫毛はパッチリと!ラインは綺麗に!です。
文中に(*)がでてきますが、注意すべきポイントなど記載しています。
左右共に瞼縁から7mm、幅2.5mmの皮膚を切除するデザインとします。
手術は局所麻酔下で二重全切開(*)を行います。
(*)メスで切開する時に創縁をがたつかせない、
電気を使った止血では、絨毯爆撃のように止血しない。創縁が痛み傷跡が汚くなります。
眼輪筋は切除せず(*)、眼窩隔膜と挙筋腱膜の間を剥離し腱膜を露出します。
(*)閉瞼時や伏し目の時に凹まないようにするためです。
挙筋腱膜の可動が悪ければ(*)外側を切離します。
(*)開瞼抵抗の予防、眼瞼内側挙上の補助
なお本症例では、挙筋腱膜は瞼板からは剥がさず(*)、眼輪筋下で断端を残し切離しました。
(*)挙筋腱膜を瞼板から剥がした場合は、
上記右イラストのように腱膜を前方に引き出し瞼板に再固定します。
ちなみに・・・私が行っている重瞼ラインの引き込みは、
挙筋腱膜のやや頭側よりにナイロン糸をかけ、
黒目中央部とその両端に位置する眼輪筋側の腱膜断端、あるいは眼輪筋と縫合しています。
そのあとは眼輪筋同士(*)、
(*)眼輪筋を密に縫合すると、眼輪筋は閉瞼時に作用するので糸が切れる可能性があります。
最後は皮膚同士を縫合して終了です(*)。
(*)皮膚同士を丁寧に縫合することで傷はより綺麗になります。
それでは術後1ヶ月、5ヶ月と開瞼・閉瞼と比較してみていきます。
術後1ヶ月の状態です(開瞼)。
まだ瞼縁から重瞼ラインまでが腫れています。少し左右差もあります。
睫毛の角度が変わっていますね。
術後1ヶ月の状態です(閉瞼)。
傷はまだ赤く膨らみもあります。
術後5ヶ月の状態です(開瞼)。まぶたのお化粧はしていません。
まだ若干の左右差はありますが、腫れもひきました。
またアーチもとても綺麗です。
術後5ヶ月の状態です(閉瞼)。上まぶたのお化粧はしていません。
傷もかなり目立たなくなりました。
凹みもありません。
最後に一連の経過を確認します。
開瞼;術前>>>術後1ヶ月>>>術後5ヶ月
重瞼ラインが下がっていくのがわかります。
ダウンタイム中は不安になりますが、
適切な治療をすれば半永久のハム目(*)にもなりません。
(*)ボンレスハムのような状態。瞼縁から重瞼ラインまでが腫脹すること。
閉瞼;術前>>>術後1ヶ月>>>術後5ヶ月
傷の経過がとてもよくわかります。
適切な切開、ソフトな止血、丁寧な縫合により傷はとても綺麗になります。
丸山成一
<合併症など>
内出血、腫脹、左右差、浅い重瞼線、固定糸が外れラインが薄くなる、深い重瞼線、
不整な重瞼線(予定外重瞼線)、不整な瞼縁(アーチ)、開瞼抵抗、 目の開きが悪い、
目が開きすぎる、角膜炎、ドライアイ、傷の哆開(しかい;傷が開く)、 瘢痕形成
(傷の肥厚や陥凹など傷跡が目立つ可能性がある)、 中縫いの糸が出てくることがある、
縫合糸膿瘍、 眼瞼痙攣、抑うつ・不眠など自立神経症状、頭痛、目の奥の痛み、
自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。
<価格(税抜き)>
二重全切開 両側 ¥270,000