重瞼術(埋没法や全切開術)術後〜ダウンタイム中に気をつけることや起こりうる変化〜
最近、術後経過をSNSに投稿する方が増えています。
また鏡で何度も状態を確認する方もいます。
特に重瞼術(埋没法や全切開法)後は確認したくなる気持ちはよくわかります。
もちろん鏡をみること、術後の経過写真を撮影・投稿することに否定はしませんが、
帰宅し術後数時間に鏡で何度も確認したり、
開瞼、閉瞼時の写真を何度も撮影することはいけません。
これらの行動は、不安からくるもので注意が必要です。
何故ならこの時期は創部の安静が必須であり、
動かせば埋没法や切開法で固定した糸が緩みますし、最悪外れます。
特に切開法では、上まぶたを奥に引き込み重瞼ラインを形成するために、
眼窩隔膜や挙筋腱膜にかけるのですが、
その糸が外れ重瞼ラインが浅くなります。
できるだけ控えましょう。
それともう一つ!
重瞼術後のダウンタイム中に気をつけることをお話します。
ところでダウンタイムとは何でしょうか?
一般的には、術後内出血や腫れなどが生じ、
少なくとも一定期間、人に会いたくない、外に出られないなど日常生活に支障がでます。
この期間をダウンタイムと呼びます。
重瞼術(埋没法や切開法)のダウンタイムは、
①腫れや内出血がおさまるまで
②重瞼線が完全に安定(重瞼線の完成)するまで
・・・とすると、
埋没法の腫れや内出血は少なく、数日から長くて2〜3週間程度です。
また埋没法で作成した重瞼線は約1ヶ月で安定します。
そのため切開法に比べ埋没法を行った患者様は、
腫れや内出血も少なくダウンタイム中は、比較的安心して過ごされます。
一方で、
切開法では腫れや内出血は埋没法より長くなります。
特に術直後〜抜糸〜数週間は、
瞼縁から切開線(新しい重瞼ライン)までの腫れ;通称ハム目が形成される場合があります。
ちなみにハム目の形成は、
切開することで睫毛側の血液還流(静脈血の戻りが)が悪くなり、
切開線縫合部より睫毛側が、パンパンに腫れてしまいボンレスハムの状態になります。
例えるなら、
迂回路のない道路で事故が起き、交通渋滞がおきている状態です。
しかし、抜糸や血管が新生されることで、
停滞していた静脈の還流がよくなり、ハム目は解消されていきます。
またこの時期はハム目以外にも、
左右差、予定外重瞼線などが起こりうるので余計に不安になります。
いずれにしても切開法の重瞼線の完成は、
数ヶ月〜1年(数年と考える医師もいます)ですので辛抱強く待つことが大事です。
そして上記に述べたように、
鏡を何度もみる、自撮りをする、
またネットで他の患者さんの経過をみる、
「切開、腫れ、左右差、ハム目、失敗」など検索する、
・・・などは行わないほうがよいでしょう。
重瞼術後に不安になる気落ちはとてもよくわかります。
その不安をできるだけ軽減するために、
医師は術前の説明はもちろん、
術後患者様がダウンタイム中に不安になった時に、
その不安を聞き安心させることも大事です。
そうすれば、周囲やネットの意見に左右されず、
ドンと構えられると思います。
丸山成一