私が行わない美容治療①〜糸によるリフトアップ、ヒアルロン酸の大量注入など〜
最近では美容外科・美容クリニック・美容皮膚科クリニックが乱立し、
トラブルも多発し消費者センターへのクレームも非常に増えています。
例えば、
『目の上に脂肪を注入したら腫れぼったい目になった』
『糸によるリフトアップを行ったが何にも変わらなかった』
『肝斑にレーザートーニングを行ったがかえって濃くなった』
『鼻にヒアルロン酸を大量に注入され鼻筋が太くなった(アバター)』
『下顎の骨切りを行ったら皮膚がたるんだ』
・・・などです。
そこでそれらの美容医療行為が、
本当に正しいのかどうかを数回にわたって検証し説明していきます。
【糸によるリフトアップについて】
「数本の糸を入れて引き上げたが、
術後すごく腫れて腫れがひけばもとに戻っていた』
確かに切らずにたるみがとれたら嬉しいですよね。
しかし現実はそうではありません。
例えばフェイスラインや頬にたるみがあったとします。
多くの人は指でそのたるみを引き上げ、
「こうなればいいな」と思いますよね。
しかし糸で引っ張って、そのたるみはどこにいくのでしょうか?
もちろん・・・どこにもいきません。
つまり糸で引っ張ってもたるみが取れないと考えているので、
私は糸単独によるリフトアップは行わないのです。
今まで糸の施術によるトラブルをたくさん診察してきたので、
糸に対する抵抗感があるのかもしれません。
ただし糸の種類、患者様のニーズ、適切な手技や工夫が行えるのであれば、
今後は検討していきます。
*最近は糸(ゴアテックス糸)とSAMSや皮膚切除の融合した治療を行っています。
【ヒアルロン酸の大量注入】
ヒアルロン酸を一度にたくさん注入すると、
柔らかいものでも長く体内に残ってしまいます。
隆鼻目的や目袋形成には注入する量が必然的に増えますので、
鼻であればアバターのように太くなり、
目袋であれば不自然な形態になります。
通常注入したヒアルロン酸は、
周辺の組織と接触と接触している部分から吸収されていきます。
しかし量が増えると注入されたヒアルロン酸は塊を形成してしまうので、
周辺だけが吸収され中心部は残ってしまうのです。
また鼻根部に大量注入すると失明を起こす可能性が高まり、
ほうれい線だと鼻翼(小鼻)壊死を起こす可能性が高まります。
そのため私は行いません。
*もちろん個人の満足度、それぞれの医師によって見解は異なります。
【PAGなど非吸収性注入物の注入について】
ポリアクリルマイド ハイドロジェル:Polyacrylmaide Hydrogel;PAGは、
4.0%のポリアクリルマイドと、水96.0%の水で構成された非吸収性の注入剤です。
「半永久的に効果が持続する」、「安全性が高い」などと宣伝され、
未だに多くクリニック、医師が使用していますが、
実は高いリスクを伴うと言われています。
長期間体内に存在するための弊害が、次々と報告されるようになり、
代表的な弊害は「異物肉芽腫」と呼ばれる腫瘍を形成することです。
注入されたPAGは、
周辺組織(脂肪や筋肉)の中に浸潤(入り込んでいくこと)し、
完全除去が困難であり注射器で吸い取ることは不可能で、
切開して取り除くしかありません。
放置して長期間その場所にとどまると、
周辺組織と異物反応を起こし慢性的な炎症を起こし、
結果的に肉芽腫を形成することが、世の中に知られてきました。
またPAGの他にも長く体内に残る注入物は、
肉芽腫を形成する可能性が高いために私は行いません。
*もちろん個人の満足度、それぞれの医師によって見解は異なります。
今後もこの他院では行っているが、
「私が行わない治療」について、
その理由と解説をつけて更新していきたいと思います。
丸山成一