急に大きくなった黒子は切除が望ましい。でも目の近くでも大丈夫?
今回は急に大きくなった黒子の治療のお話です。
患者様は右の目の下に黒子が急に大きくなったので、
怖くなり治療希望で来院されました。
患者様に話を聞いてみると、
3ヶ月前はなかったといいます。
ここで形成外科医は悪性のものを念頭において治療方針を探ります。
ところで悪性を疑う場合は、
形成外科医は以下を基準に判断します。
① 形は綺麗か?それとも汚いか?
② 出血はしていないか?
そして・・・
③ 急激に大きくなっていないか?
・・・などです。
今回の症例では、
① 黒子の形状ですが綺麗でもなく、汚くもありませんでした。
② 黒子からの出血はありませんでした。
③ 急速に大きくなっていました。
そこで私は総合的に良性だと考えましたが、
念のために悪性も考え切除した組織を病理検査に提出しました。
2週間後の病理検査の結果は良性でした。
患者様も喜んでいらっしゃいました。
これで悪性の心配はなくなりましたが、
今後は傷の経過を確認していく必要があります。
「良性で良かったですね!」だけではよくありません。
傷跡もきれいでないといけません。
ではその後の経過を追っていきましょう。
術後1ヶ月半ですがまだ傷は赤いですね。
本人はそちらを心配されていました。
しかし、
5ヶ月もすれば・・・
傷も綺麗でほとんど目立ちません。
もちろん再発もなく目の変形もありませんでした。
最後に一連の経過をみてみましょう。
傷は綺麗でほとんど目立ちません。
下まぶたの形態を変形させずに綺麗に修復できています。
たとえ結果が良性であっても、
急に大きくなる黒子は要注意です。
切除し病理組織を提出すべきです。
そして、何よりも綺麗に修復することも大切です。
目の下(目のギリギリそば)でも今回のような修復は可能です。
丸山成一
※before & afterの画像についてのご注意
写真はあくまで参考画像であり、症例により効果や満足度は異なりますのでご了承下さい。
※リスク・副作用・合併症
内出血、腫脹、傷の哆開(しかい;傷が開く)、糸が出てくる(埋没縫合した糸がでてくることがある)、縫合糸膿瘍、テープ(傷の安静をはかるためのテープ固定)かぶれ、傷が長くなる、ドッグイヤー(傷跡の両端が盛り上がる)、傷の肥厚・陥凹、ケロイド形成、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。