ワキガ(腋臭症)・多汗症の治療〜ワキのニオイや汗が気になる〜
今回はワキガ(腋臭症)・多汗症の治療について説明します。
まずその前に皮膚の断面のイラストを見て、
ニオイや汗の原因となるものが、
どこにあるのかをチェックしましょう。
皮膚には、、、
サラサラの汗を出すエクリン腺と
フェロモンのような物質を出すアポクリン腺が
2つの汗腺が存在しています。
そして細菌は、汗とフェロモンのような物質が混じり合ったものを分解し、
嫌なニオイを発生します。
従って、この原因となる汗腺を取り除けば、
ニオイや汗の量は改善されます。
治療にはボトックス(注射)と皮弁法(手術)があります。
今回は皮弁法を解説します。
手術は局所麻酔でおこないます。
ワキの下の“しわ”に沿ってデザインします。
*しわのラインに一致させておくと、術後の傷が目立たなくなるからです。
毛が生えている部分(円で囲んだ部分)をマーキングします。
手術は先程の切開線から赤丸で囲んだ範囲を剥離します。
剥離することで2つの皮弁が作成されます。
皮弁をそれぞれ裏返し、ハサミで丁寧に原因となる腺を除去します。
もう一つ大事なことがあります。
皮弁法は上の皮膚の断面図でみると、
真皮層と皮下組織との間をはがし、連続性を断っているので、
一時的に血液が通わない状態になります。
そこで、再びその“はがした皮膚”に血液が行き渡るように
stay suture(アンカー縫合)という特殊な縫合を行い、
連続性の断たれた皮膚と皮下組織とを結びつけます。
船のイカリを想像してみて下さい。
海底におろし、船が流されるのを防ぎますね!
あれと同じ原理です。
写真ではその縫合を6カ所ほど行っています。
次に、
タイオーバー固定(小さな俵を作り、それで圧迫する固定方法)を行い、
血行が行き渡る環境を整えます。
私の場合は植皮術と同じで約2週間固定します。
ワキガや多汗症の治療には、
ミラドライ、ボトックス治療など様々な治療法がありますが、
皮弁法は根治手術と言われています。
また術後の固定は、
その後の結果を左右するのでとても大事なことです。
丸山成一
※before &afterの画像についてのご注意
写真はあくまで参考画像であり、症例により効果や満足度は異なりますのでご了承下さい。
※リスク・副作用・合併症
内出血、腫脹、血腫、皮膚壊死、感染、感覚鈍磨、傷の哆開(しかい;傷が開く)、
糸が出てくる(埋没縫合した糸がでてくることがある)、縫合糸膿瘍、
テープ(傷の安静をはかるためのテープ固定)かぶれ、ドッグイヤー(傷跡の両端が盛り上がる)、
傷の肥厚・陥凹、拘縮、
自分が想像していた結果(ニオイや汗の量が思ったほど改善されてない)と異なるなどが考えられます。