仏像彫刻家・ひくまのブログ -3ページ目

私は樟で
兎を彫っている
野性のそれを
可愛ゆく彫ろうとしている
しかし 眼を入れた途端
私に刃向かって来た
兎に反逆されようと
私は私の意思のままに彫りたい
と言うのは虚勢なり
恐い兎になってしまった事実を喜んでいるもう1人の私がいる


【ひとこと】
この詩は、実際に
兎を彫った時に
書いたものです。
動物は、猿、蛙等、
たまに彫りますが、
殆んど仏像です。
久し振りに兎を彫り、
生きている物の難しさと、
秘められた魅力を
味わいました。

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囀り

囀りや
パンはふっくら
焼けました

【よみ】
さえずりや
パンはふっくら
やけました

【ひとこと】
小鳥達の囀りが
優しい日差しに誘われ、
盛んに聞こえる
ようになりました。
焼きたての
パンをいただき、
寒い冬から
解放されたような
嬉しい気持ちの
一日でした。

寒戻る

漆塗り
一日おっぽり
寒戻る

【よみ】
うるしぬり
いちにちおっぽり
かんもどり

【ひとこと】
漆は、乾いたら塗り、
乾いたら塗りを、
20回程繰り返し、
出来上がりますが、
暖かい日に気分良く
茶托に漆を塗り、
一日おっぽって置いたら、
次の日は、寒が戻り
寒い日となりました。

春雪

春雪や
どかーんと降りて
消え入りぬ

【よみ】
しゅんせつや
どかーんとふりて
きえいりぬ

【ひとこと】
春の雪は、
積もるのも早いが、
解けるのも早い。
一夜にして銀世界に
変えながら、
明くる日は、
春の優しい日差しに
消えてしまいます。
儚さ故に美しいのでしょう。

水仙の芽

土かけて
水仙の芽を
被いけり

【よみ】
つちかけて
すいせんのめを
おおいけり

【ひとこと】
先日、枯れ色の落ち葉を
取り除いたら、
なんと水仙が芽を
出していました。

毎日のように雪が降り
こんなにも寒いのに、
まだ早いよ!と、
土をかけてあげました。