所有者「不明」ではなく、所有者「不在」の土地の出現!
相続手続がなされず、数代前の登記名義人のまま放置されている土地登記簿が数多くあります。
この土地を利用しようにも、相続人がいったい誰なのか何人いるのか把握できなければ、事は先に進みません。
所有者を探索することが困難な土地を「所有者不明土地」と言いますが、今回取り上げるのは、「所有者不在土地」です。
人口減少や人口の都市集中で、限界集落と呼ばれる地域が増加の一途を辿っています。この地域の田畑や山林はその財産価値を失い、利用する人もいない有様です。
そして、相続が発生します。
誰一人としてこれらの土地を受け継ごうとしません。
居住するでもなく、耕作するでもない土地は、相続人にしてみれば「お荷物」以外の何物でもないのです。
多額の借金(負の財産)を負いたくないという理由で相続放棄を選択するケースはままあることですが、換価価値のない不動産を管理したくない等の理由で「相続放棄」をするケースが全国的に増加傾向にあるようです。
これは、所有者不明土地よりもさらに深刻な問題ではないでしょうか。
所有者が不在であるということは、最終的には国が税金で管理せざるを得なくなるということですから・・・。
さて、相続放棄をすれば以後、被相続人の財産管理はしなくてもよいのでしょうか?
雑草の草取りもしなくてよいのでしょうか?
荒れ果てていく被相続人名義の不動産、もう関係ないよ、と見て見ぬ振りできるのでしょうか?・・・そうはいかないようです。
財産の管理をする人が現れるまでは、相続人が「自分の財産と同一の注意をもって」管理を継続しなければならないのです(民法940条)。
もちろん、掛かった費用は自腹で、ということになるのでしょうね。
しかし、所有者不在の土地を現出しないよう、隣接者や田畑の小作人、地元の農政課等に相談を持ちかける等、早めに対策を講ずることが何より大切ではないでしょうか。
これも、新手の相続生前対策?!