事業承継あれこれ  その② | 司法書士法人 小屋松事務所 スタッフブログ「転ばぬ先の杖」

事業承継あれこれ  その②

 所長の小屋松です。 

 

 中小企業庁の発表によれば、2020年までに団塊の世代を中心に、新たに30万人の中小企業経営者が70歳に達し、引退時期を迎えるといわれていますが、その約6割が「後継者が未定である」と回答しています。

 この年代の経営者は、高度経済成長の真っ只中で経営の舵取りをしてきた「つわもの」が多く、能力なり人格なりでカリスマ性に優れたオ-ナー経営者が会社を去る、ということを前提に事業承継問題を捉える必要があると思われます。 

 

 従来の事業承継は、「モノ・カネ」を中心とした「資産の承継」をどうするか?が課題の中心でありましたが、団塊世代の経営者は、人一倍「創業から現在に至る経営に対する念いや価値観、信条」を大事にする方々ですから、ここをどう引き継ぐかは後継者にとってはハードルが高いです。

 一般的に、事業承継は7.8年の時間を掛けて計画し実行していく必要があるといわれますが、まさにこの部分(「経営理念」と置き換えても良いでしょう)の承継をいかに後継者に、さらには企業内に浸透させるかが承継の本質といっても過言ではなく、従ってある程度の時間を要することは自明のことといえるでしょう。

 

 私の周りでも、社長の地位は譲ったが、まだまだ後継者の舵取りに物足りなさや不安を感じている先代経営者のなんと多いことか!いやいや、それでも後継者が居てくれるだけでも幸せなこと!冒頭にも述べましたが、約6割が後継者未定なのですから・・・。

 口出しも結構ですが、後継者の考えを尊重しつつ寄り添い、徐々にテイクオフさせていく寛容な対応、それが団塊世代経営者には求められますね。

 

 あれあれ、いつの間にか、後継者がいる4割の幸せな経営者向けのコメントとなってしまいました。次回からは、具体的な事例を交えて、事業承継のあれこれを伝えていくことに致します。