初冬~

毛布など 一枚足して 眠り付く

事務の女 外から見えぬ 膝毛布

三回忌 道一筋や 杖の先

寺水の いよよ冷たき 墓参かな

墓参り 親知るひとと 出会ひけり

初時雨 猿も小蓑を あさるなり

よべの雨 落葉かがやく 朝来たり

立冬も 過ぎし日暮の 急ぎ足

初霜に 色を極めて ゆく山菜

初霜や 踏まねば行けぬ 畦の道

雨粒で 光る南天 眺めてる

北風が 涙を誘う 別れ道

 

 

 

 

あり余る 小春日和の 影を追う

店内は あまい匂ひの クリスマス

仏壇に 姉が育てた 小さき菊

浅草で はぐれし人や 酉の市

小春日に 清水沈め 日暮れ坂

川霧も 途切れて尾瀬の 姿見ゆ

熱燗の 香りに酔ひたる 寒き夜

坂道へ まはれば冬の 日暮れたり

時雨る 足音に寄る 鯉の群

わが秋思 突然顕る 浜の夢