すがすがしい空気を鼻いっぱいに吸い込む。何も考えない。5月の朝は空気が少し湿っている。昨日は雨が降ったのだろうか。午後も降ってきそうだ。私は狭い部屋でのそのそとベッドから起き出す。
CDをかけてみようという気になった。前の彼氏が置いていったものだ。なんであんな男にひっかかってしまったのだろう。ころころと相手を変えて、私を濡らすだけ濡らして通り過ぎていった時雨のような人だった。
窓を開けて風を入れる。淹れたてのコーヒーを持ちながら、ずっと窓際に佇んでいたいと思った。コーヒーの湯気が鼻をくすぐる。少しだけ気分が良くなった。
家を出る準備をしなくちゃ。
外に見える空にはどんよりとした厚い雲とその隙間を埋めるような薄い雲が広がっている。薄い雲ならすぐに太陽が顔を出すのに、と心の中がきゅっとした。