僕は、気がついた
夏樹の隣のブランコに
マリンカラーの手提げが置いてある事に
僕は言った
「運動会、ちゃんと用意してきたんじゃん」
夏樹は
ああこれ、って感じで
手提げを膝にのせると、中に手を入れ 体操着を引っ張り出した。
それは、袖の一部をぬかして
ほぼチャコールグレーに変身していた
「墨汁だと思う」
夏樹が言った
「洗っても落ちなかった?」
「墨汁は落ちない
うち、何度も洗ってみたんだよ」
夏樹は、人差し指と中指で
体操着を撫でた
僕は白い体操着に、わざわざ墨汁をかけるやつらの気持ちが
さっぱりわからなかった
僕は白い物は白いまま
フワフワな物はフワフワなままが好きな人間だ
「おじさんに言った?」
「パパには心配かけらんない」
「マツジュンに言えよ」
「例え、担任が三浦先生だったとしてもうちは言わない」
三浦先生は、去年転出した、夏樹の大好きだった先生だ
夏樹の気持ちはわかった
ムカつくけど、こういう事、
大人に言って
何かが良くなるとは思えなかった
「わかった!」
僕は自分の手提げから、母さんが勝っておいてくれた新品の体操着を出すと、夏樹に差し出した
「ダメだよ!うちに貸したから運動会に出ないとかって考えてんでしょ?」
夏樹はちょっと涙ぐんで言った
ホントはそれも少し考えたけど
「違う!
家にもう一枚あるから、ホントはそっちで走りたいんだ
体操着だけピカピカは、ちょっと気が引ける」
と僕は答えた
こっちも本音だった
その時八時のチャイムが鳴った
(続く)
夏樹の隣のブランコに
マリンカラーの手提げが置いてある事に
僕は言った
「運動会、ちゃんと用意してきたんじゃん」
夏樹は
ああこれ、って感じで
手提げを膝にのせると、中に手を入れ 体操着を引っ張り出した。
それは、袖の一部をぬかして
ほぼチャコールグレーに変身していた
「墨汁だと思う」
夏樹が言った
「洗っても落ちなかった?」
「墨汁は落ちない
うち、何度も洗ってみたんだよ」
夏樹は、人差し指と中指で
体操着を撫でた
僕は白い体操着に、わざわざ墨汁をかけるやつらの気持ちが
さっぱりわからなかった
僕は白い物は白いまま
フワフワな物はフワフワなままが好きな人間だ
「おじさんに言った?」
「パパには心配かけらんない」
「マツジュンに言えよ」
「例え、担任が三浦先生だったとしてもうちは言わない」
三浦先生は、去年転出した、夏樹の大好きだった先生だ
夏樹の気持ちはわかった
ムカつくけど、こういう事、
大人に言って
何かが良くなるとは思えなかった
「わかった!」
僕は自分の手提げから、母さんが勝っておいてくれた新品の体操着を出すと、夏樹に差し出した
「ダメだよ!うちに貸したから運動会に出ないとかって考えてんでしょ?」
夏樹はちょっと涙ぐんで言った
ホントはそれも少し考えたけど
「違う!
家にもう一枚あるから、ホントはそっちで走りたいんだ
体操着だけピカピカは、ちょっと気が引ける」
と僕は答えた
こっちも本音だった
その時八時のチャイムが鳴った
(続く)