駅でバスを降りて
今来た方向に少し戻ります
ビルの影の細い路地を左折した所に「コーヒーショップかめや」はありました
南部鉄の風鈴
立てかけたよしずの脇に
ゼラニウムの鉢植え
このお店のたたずまいは
四季を通じて
すっきりと素朴で
子供の頃一度だけ連れて行って貰った
「浅草」を思い起こさせました
まだこの街に越して間もない頃
初めてこの店に足を踏み入れ
口にしたロイヤルミルクティーと木イチゴのタルトの衝撃は心に強く刻まれました
茶葉は「ウバ」
牛乳が違うのでしょうか
口に含んだだけでわかる濃厚なコク
そして、上質なバターのタルトに
黄身の強いカスタード
ほとんど砂糖を加えずに仕上げた木イチゴと
アクセントのキャラメリゼ
日持ちのしない食材で
こんなに美味しい状態で
お客さんに提供するのには
どれくらいの努力がいるかしらと
私は心を震わせ考えたものです
足しげく通っても決して馴れ馴れしく私の領域に入ってこない御店主の距離感
でも常連さんを決してがっかりさせない気遣い
全てが
理屈じゃない
私の生まれもっての好みにそぐっていて
心地よいのでした
でもそれも
今日を区切りに
私はこの店から足を遠ざけるつもりでした
古いオーク材のドアを押したら
私の顔を見つけ
涼やかな笑顔で手をあげる人が今日もいるはずでした
その顔が見たくて
何度小走りにこの店に急いだ事でしょう
週に一度か二度
6時すぎに会って
七時半に彼が店を後にし
それからきっかり10分後に
私が店を出る
そんなもどかしい
まるで中学生のようなつきあい方を
私達は一年以上続けてきたのでした
(続く)
今来た方向に少し戻ります
ビルの影の細い路地を左折した所に「コーヒーショップかめや」はありました
南部鉄の風鈴
立てかけたよしずの脇に
ゼラニウムの鉢植え
このお店のたたずまいは
四季を通じて
すっきりと素朴で
子供の頃一度だけ連れて行って貰った
「浅草」を思い起こさせました
まだこの街に越して間もない頃
初めてこの店に足を踏み入れ
口にしたロイヤルミルクティーと木イチゴのタルトの衝撃は心に強く刻まれました
茶葉は「ウバ」
牛乳が違うのでしょうか
口に含んだだけでわかる濃厚なコク
そして、上質なバターのタルトに
黄身の強いカスタード
ほとんど砂糖を加えずに仕上げた木イチゴと
アクセントのキャラメリゼ
日持ちのしない食材で
こんなに美味しい状態で
お客さんに提供するのには
どれくらいの努力がいるかしらと
私は心を震わせ考えたものです
足しげく通っても決して馴れ馴れしく私の領域に入ってこない御店主の距離感
でも常連さんを決してがっかりさせない気遣い
全てが
理屈じゃない
私の生まれもっての好みにそぐっていて
心地よいのでした
でもそれも
今日を区切りに
私はこの店から足を遠ざけるつもりでした
古いオーク材のドアを押したら
私の顔を見つけ
涼やかな笑顔で手をあげる人が今日もいるはずでした
その顔が見たくて
何度小走りにこの店に急いだ事でしょう
週に一度か二度
6時すぎに会って
七時半に彼が店を後にし
それからきっかり10分後に
私が店を出る
そんなもどかしい
まるで中学生のようなつきあい方を
私達は一年以上続けてきたのでした
(続く)