もう3~4年程前であるが、このブログ上で私は「マンションの点検が嫌い」といった記事を書かせて頂いたことがある。
消防設備士という仕事柄、もはやマンションの点検は避けては通れないものであるのだが、しかしどうしてもそれが好きになれず、またそうした考え方に現時点で特に変化はない。
つまり、相変わらず私はマンションの点検が嫌いなままである。
理由も変わらず、やはり事務所ビルなどに比べマンションの点検は気を使うからだ。
何せマンションの点検は共用部はともかく、各居室に関しては賃貸であれ分譲であれ、基本的に「個人の持ち物」である。
もちろん賃貸契約の場合、厳密な持ち主はオーナーなり不動産会社なりではあるが、しかし賃貸契約がなされている間は「借主の権限下」と言って良い。
いずれにせよ個人の所有である以上、些細なことでもクレームになりやすい。
事務所ビルや商業施設の場合、例えば「テナント内の壁を汚した」としても、しかしあくまでも「会社がビルのオーナーから借りているもの」であり、そのテナント内で働く人たちに「自分の持ち物」という意識は当然無い。
それゆえ小さな汚れ程度であれば皆あまり気にしないことも多く、クレームにまで発展することは比較的稀なこと。
また仮に点検業者側にクレームを入れるにしても「では誰がクレームを言うのか?」という問題もある。
店長なのか、あるいはその日に勤務している従業員の中の「一番上の人物」なのか、クレームを言う側も相応に面倒である。
一方でマンションの個人宅の場合、クレームを言うにもそうした迷いが一切ない。
「自分の家の壁が汚された」=「ひとこと文句言ってやる!」と、その部屋の住人のさじ加減一つで全てが決まる。
また個人の持ち物であるが故にほんの僅かの汚れでも当然気にする。
19年間この仕事を続けてきた私だが、やはり過去のクレームを振り返ってもマンションで発生する率が顕著に高いと感じている。
そうした事情もあり、とにかくマンションの点検は何かと神経をすり減らすので、私は「嫌いである」と常々言っている。
がしかし、だからと言って「適当にやっている」ということはもちろんない。
何せ適当にやればそれはそれで「作業員が適当だった」というクレームにつながりかねず、なので作業自体は結構シッカリとやる。
私は日頃から皆に「マンションの点検は最初のインターホン越しの挨拶の時点で全てが決まる」と言っている。
住人側はそのインターホン越しの何気ない会話の中でこちらに対する最初のイメージを持つので、そのインターホン越しの挨拶がダメな人間はその後にクレームを起こしやすい。
またインターホン越しの挨拶が下手な人間はいざ玄関の扉が開き、住人と直接相対した際の挨拶も結局下手である。
マンションの点検は確かに嫌いな私だが、しかしこの19年間でクレームというクレームは記憶に残る限り1度だけ。
自分で言うのも嫌いじゃないが身だしなみはもとより、最初の挨拶、そして作業の手際の良さ、加えて住人から質問された際の明快な回答等々…
もはやどこをとっても一流である。
そんな私ゆえ、他社の応援などに行った際、その会社の人々の「接客態度」など大変気にする。
正直、普段接している「元請さん」の中には客先での言動を見る限り「この人は絶対にウチの現場応援には呼べないな…」と思う人は正直少なくない。
実際の話、ウチの応援にその方を呼ぶなど互いの関係上あり得ないのだが、しかし頭の中でそうした「シミュレーション」などはしてみたりもする。
後ろで見ていると「いつクレームになるのやら」とハラハラすることも多々ある。
「もしもこれがマンションであったのなら恐らくこの人は部屋にも入れてもらえないだろう」などと。
これは見方を変えると「マンションの点検でクレームを出さない人間はその他の物件でもクレームを出さない人物」でもある。
「その部屋の直接の権限者」である個人を相手にしてもクレーム全く出さない人物とは、それだけ「顧客側に対する言動がしなやか、かつ紳士的」ということ。
19年間もマンション点検を嫌々ながらもそうしてこなしてきた私のその接客術、是非皆様にも見せたいくらいだ。
単身者向けの小さなマンションからタワーマンション、はては外国の大使が居住するマンションまで、ありとあらゆる「個人宅」で作業をしてきた私。
そこで培ってきた接客術を持ってすればもはや日本中全ての建物、そしてそこにいる全ての人々にそれは通用する。
「マンションの点検は嫌い。でもやればめちゃくちゃ出来る」
それがわたし代表村田である。
未経験者大歓迎!!