「IRATAが意味するもの」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

本日も夕方まで現場に出ていた私は18時過ぎに帰宅。

 

すると郵便受けの中にレターパックが一通。

送り主は今月7日から12日にかけてトレーニング&アセスメントを受けた神奈川県大和市内のIRATA(アイラタ)のトレーニング施設。

 

と言うことはつまり…

 

 

 

私とタケ、2名分のIRATA資格認定証とライセンスカード、そしてログブックの3点セット!

認定証もライセンスカードも思っていた以上に立派な造りで、また何より見た目も格好イイ。

このライセンスカード、番号は「その人だけの物」で、例え今後更新せずそのまま失効させたとしても、しかしその番号が将来的に「別の誰かに振り分けられる」ということもない。

 

目つきが相当ヤバく見えるが、メガネに光が反射している。

何せ最終日の朝いきなり「じゃ写真撮ります」と言われ、インストラクターの方が自らのスマホで撮影

 

裏面がまた格好イイ。このカードがあればヨーロッパでもロープ高所作業が行えるという凄い代物

 

こちらはログブック

 

そしてもう一つ、「ログブック」と呼ばれる小さな手帳の様な物。

こちらは「いつ、どこで、誰の管理下でロープ作業を行ったのか?」を記すもので、簡単に言うとその人物の「ロープ高所作業の履歴書」ということになる。

 

IRATAのレベルは3段階に分けられているが、一つ上のレベルを受験するには最低1年間、そして通算1000時間以上の実務経験を必要とする。

なのでログブックは今後のステップアップを目指す上では大変重要な資料となる。

 

 

今回取得したこのIRATA。

去年から新たに始めた外壁打診調査業務を行う中、色々とロープ作業について調べる中でその存在を知った。

 

日本ではまだ認知度の低いライセンスながら、ヨーロッパではIRATAの所持者が「ロープ作業技術者」として高く評価され、また日本でも高所作業の世界では徐々に個々の評価基準として運用されつつあると聞き、私の中でIRATA取得への欲求が次第に抑えきれないものとなっていった。

 

そうした中でタケと共にトレーニングに参加したのだが、一方で私自身、今後の仕事のことを思うと「何が何でも合格しなければならない」というプレッシャーに苛まれ、初日から寝不足状態のままアセスメント(試験)を含め計6日間にも及ぶトレーニングを継続。

 

身体は極度の緊張状態を維持し、あまりにも寝不足状態が続いたことで4日目辺りからは大袈裟でなく半分意識を失いかけながらトレーニングをしていた。

それでも何とか他の練習生たちについていこうと死に物狂いで6日間を食らいついた。

47年間生きてきて、本当に「人生で最も過酷な6日間」でもあった。

 

トレーニングはもとより、最終日のアセスメントも含め、自分自身到底納得のいく内容ではなかったものの、だが今回の最終目標はただ一つ「IRATAを取得すること」であった私にとって、もはや「合格こそが全て」と言って良い。

 

今までの私が行っていた「ロープ高所作業による外壁調査」など、半ば「専門外の人間による下手の横好き」みたいなものであったが、しかし今回無事にIRATAを取得したことで高所作業の業界的にも、一先ずは「プロ」として認められる。

 

IRATAは日本では未だ未承認のライセンスではあるが、とは言え「ロープ高所作業先進国」であるヨーロッパにおいてはロープ作業を行う上でもはや必須。

「IRATAを持たない者はそもそもロープ作業に従事出来ない。あるいは極端に安い金額で仕事をやらざるを得ない」とも言われる。

 

今回我々が取得したのは3段階ある中の一番下「レベル1」ではあるが、しかしロープ高所作業を行う上で通常必要とされる技術のほぼ全てをこの「レベル1」で学ぶ。

 

日本ではたった1日の「ロープ高所作業特別教育」の受講のみで全てが完結するが、しかしロープ高所作業特別教育なんぞ、リギング(吊元へのロープのセッティング)すらもロクに教わらず、ただ「少しだけロープを登って降りる」を数回繰り返して「ハイ、終了!」である。

 

一方のIRATAトレーニングでは5m以上の高さの中、ロープからロープへの移動、あるいは鉄骨の横移動なども普通に行う。

またリギング作成も当然アセスメントの中で問われる。

 

ハッキリ言ってIRATAは例え「レベル1」でもロープ高所作業特別教育の10倍以上濃密かつ高度な内容。

ライセンス云々以上に、それを取得することで得られるロープ作業への自信こそが最大の収穫と言って良い。

 

実際「本当に高所が苦手な方は恐らく初日でギブアップしてしまうのではないか?」という気さえする。

 

過去には少々肥満気味の方がトレーニングに参加し、初日の時点でどうにもならずにそのままギブアップした方も居たようである。

そういった意味でもIRATAは決して「誰でも取れるライセンス」ではない。

 

現状日本では一般的な認知度の低いIRATAとは言え、しかしネットで調べればどういったライセンスであるのかは直ぐに分かる

IRATAには今後ロープ作業を行う上で相応の「営業力」、更にはそこに「説得力」さえも齎してくれるに違いない。

 

特に日本国内でも外資系企業の場合などIRATAを認知しているケースもあると聞く。

現在、提携する建築士事務所を通じて入る現場の中には元請先が外資系の場合もあり、もしかすると近い将来、今回のIRATA取得が非常に大きな意味を持ってくる可能性もある。

 

 

そして私自身、実はIRATA取得後にどうしてもやってみたいことがあった。

それは「今後新たにロープ高所作業を始めようと考えている人たちへの出張指導」の様な業務。

実は私自身は去年夏に「ロープ高所作業特別教育」を受講した後、ほぼぶっつけ本番の形でロープ作業を行った。

 

当初は「どなたかロープ作業に慣れた方が現場まで来て指導してくれませんか?」などと人伝に頼んだりもしてみたが、しかし悉く(ことごとく)断られ、結果的にぶっつけ本番でやることとなったが、しかし今にして思うとかなり危険なセッティングをしていたし、また緊急時(メインロープが切れるなど)の対応方法も全く分からないまま作業をしていた。

 

でも世の中には以前の私と同様、「ロープ作業を行いたいが教えてくれる人がいない」と悩んでいる方もきっといるはずだ。

 

私如き、正直何が出来るわけでも無い。

しかしぶっつけ本番でロープ作業をスタートし、そして今回のIRATA取得に至った事で「何が安全で何が危険なのか?」は十二分に理解出来たし、また安全なセッティングや降下の仕方など、今は相応に自信もある。

 

IRATAの受講には1人20万円近くかかるし、また出張指導など業務として行っている人も中々見当たらず、また仮に居たとしても相当に高額なのは必至。

なので比較的近隣の方など、誰もが払える程度の金額で出張指導など行えたら… などと考えている。

 

今回の私とタケのIRATA取得は我が平成め組が単なる一消防設備業者から脱却し、今後は「トータル的なビルメンテナンス業」として業務を請けていく、そのきっかけになってくれることだろう。

 

日本ではその認知度が低いIRATA。

でもだからこそIRATAには大きな可能性が秘められている。

 

 

未経験者大歓迎!!